BRICs:新興国の躍進
2000年代に入り、世界の経済地図は大きく塗り替えられました。これまで経済の中心はアメリカ、ヨーロッパ、日本といった先進国が担っていましたが、21世紀に入ると、南米のブラジル、ユーラシア大陸のロシア、南アジアのインド、東アジアの中国という4つの国が、目覚ましい経済発展を遂げ、新たな経済大国として台頭してきました。これらの4カ国は、それぞれの国名の頭文字をとって、『ブリックス』と呼ばれ、世界経済を語る上で欠かせない存在となりました。
ブリックスの躍進を支えた要因はいくつかあります。まず、ブラジルは農業や鉱物資源といった豊富な天然資源に恵まれ、ロシアもまた、石油や天然ガスといったエネルギー資源の宝庫です。また、インドと中国は世界最大級の人口を抱えており、豊富な労働力と巨大な国内市場を武器に、世界の工場として、また消費大国として、急速な経済成長を遂げました。さらに、これら4カ国に共通するのは、急速な工業化です。製造業を中心に産業構造が高度化し、世界の生産拠点としての地位を確立していきました。
ブリックスの台頭は、世界経済に大きな影響を与えました。まず、急激な経済成長に伴い、石油や鉄鉱石などの資源需要が急増し、資源価格が高騰しました。これは世界的な物価上昇、つまり、インフレの大きな要因となりました。また、工業製品の輸出も急増し、世界の貿易構造も大きく変化しました。さらに、国際社会での発言力も高まり、国際連合などの場で、これまで以上に大きな影響力を持つようになりました。ブリックスの経済発展は、世界経済の成長にとって大きな機会となる一方、資源の奪い合い、環境問題の悪化、経済格差の拡大など、新たな課題も生み出しています。今後の世界経済を考える上で、ブリックス諸国の動向を注視していく必要があるでしょう。