パフォーマンス要因分析

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銘柄選択効果で差をつける

銘柄選択効果とは、市場全体の影響を取り除いた上で、特定の銘柄を選ぶ能力によって得られる超過収益のことです。分かりやすく言うと、大勢の人が乗る波の上で、さらに巧みに板を操り、人より高く波に乗るようなものです。波に乗ること自体は市場全体の動きに合わせた投資で得られる利益ですが、さらに高い位置に到達するには、どの波、どの板を選ぶか、つまりどの銘柄を選ぶかが重要になります。 投資の世界では、利益には二つの源泉があります。一つは市場全体が上昇する局面で得られる利益、もう一つは個々の銘柄の価値を見抜く力、すなわち銘柄選択によって得られる利益です。前者は市場全体の動向に左右されますが、後者は投資家自身の分析力や洞察力が試されます。銘柄選択効果とはまさにこの後者にあたり、市場平均を上回る利益を生み出す源泉と言えるでしょう。 例えば、同じ業種に属する複数の会社があったとします。その中で、将来大きく成長する会社、他社よりも高い利益を生み出す会社を見抜き、その会社の株に投資することができれば、銘柄選択効果によって高い収益が期待できます。同じ業種でも、会社の経営状態や将来性、成長性などによって株価の動きは大きく異なります。市場全体が上昇傾向にあっても、業績の悪い会社の株価は下落する可能性もありますし、反対に市場全体が下落傾向にあっても、成長性の高い会社の株価は上昇する可能性もあります。だからこそ、市場全体の動きを読むだけでなく、個々の銘柄の分析を徹底的に行うことが、高い投資成果を得るためには不可欠なのです。銘柄選択効果を高めるためには、財務諸表の分析や、業界動向の調査、企業の経営戦略の理解など、多角的な視点から銘柄を評価する必要があります。地道な努力と研鑽によって銘柄選択の精度を高め、市場平均を大きく上回る成果を目指しましょう。
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投資における複合効果とは?

複数の財産をまとめて運用する際、全体の成果に影響を与える要素の一つに「複合効果」というものがあります。これは、あらかじめ決めておいた財産の組み合わせの割合と、実際の運用での割合の差、そして、それぞれの財産の実際の利益と、目標とする利益の差、この二つを掛け合わせて計算されます。 もう少し詳しく説明すると、最初にどのような割合で財産を組み合わせるかを決めます。例えば、株式に5割、債券に3割、不動産に2割といった具合です。しかし、実際に運用を始めると、市場の動きなどによってこの割合は変化していきます。例えば、株式の値上がりによって株式の割合が6割になり、債券が2割、不動産が2割になるかもしれません。この最初に決めた割合と実際の割合の差が、複合効果の計算に使われる一つ目の要素です。 次に、それぞれの財産がどれだけの利益を生み出したかを見ます。そして、それと同時に、あらかじめ設定しておいた目標とする利益と比較します。例えば、株式投資で目標としていた利益が10%だったのに対し、実際の利益が12%だったとします。この目標との差である2%が、複合効果の計算に使われる二つ目の要素です。 複合効果は、これらの二つの要素、つまり財産の組み合わせの割合の差と、それぞれの財産の利益の目標との差を掛け合わせて計算します。この効果は、良い方向にも悪い方向にも働く可能性があります。もし、目標としていた割合よりも株式の割合を増やし、かつ株式投資で目標以上の利益を得ていれば、複合効果はプラスになります。逆に、株式の割合を減らし、かつ株式投資で目標を下回る利益しか得られなかった場合は、複合効果はマイナスになります。 複数の財産に分散して投資を行う運用商品の成果を分析する際には、財産の組み合わせの効果や銘柄選びの効果と並んで、この複合効果を理解することが、運用の良し悪しを判断する上で非常に重要です。投資における複合効果は、運用全体の利益に影響を与えるため、それを理解することは、より効果的な投資計画を立てる上で役立ちます。
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資産配分効果で投資成果を高める

資産を分けて持つことの効果は、投資での成果を見る時に大切な点の一つです。株や債券、土地などに投資する場合、全体の運用成果はそれぞれの資産の値動きだけでなく、資産ごとの投資の割合によっても大きく変わります。この、資産の組み合わせ、つまりどのような種類の資産をどれくらいの割合で持つかを決めることがもたらす効果が資産配分効果です。具体的には、あらかじめ決めた基本の組み合わせと、実際に運用された組み合わせの割合の違いから生まれる効果を指します。基本の組み合わせは、長期的な投資の目標やどれだけの損失までなら耐えられるかという基準をもとに決める理想的な資産の分け方です。しかし、市場の状況の変化や投資家の考えによって、実際の投資の割合は基本の組み合わせと違う場合があります。この違いが良い方向に働けば、資産配分効果によって利益が増え、逆に悪い方向に働けば利益が減ることになります。 例えば、基本の組み合わせでは株を5割、債券を5割としていたとします。しかし、市場の動向を見て、株の値上がりが期待できると考えた投資家が株の割合を7割に増やし、債券を3割に減らすかもしれません。もし株価が実際に上昇すれば、この資産配分効果はプラスに働きます。なぜなら、株の割合を増やしたことで、値上がり益をより多く得ることができたからです。逆に、株価が下落した場合、損失も大きくなってしまいます。これが資産配分効果がマイナスに働く場合です。 このように、資産配分効果を理解し、適切な資産の分け方をすることは、投資で大きな成果を上げるために欠かせません。市場の状況や自分のリスク許容度に合わせて、株、債券、不動産などの資産をどのように組み合わせるかを常に考え、調整していくことが重要です。