外貨預金と逆鞘の関係
金融市場では、様々な商品や通貨が将来の特定の期日に受け渡しされる約束で取引されています。この取引を先物取引と呼び、取引期日は限月と呼ばれます。通常、遠い限月の価格は近い限月よりも高くなります。これは、将来までにかかる保管費用や金利などが価格に反映されるためです。例えば、大豆の先物取引であれば、保管場所の賃料や維持管理費などがかかります。また、お金を貸し出す場合、期間が長ければ長いほど高い金利を受け取ることが期待できます。これらのコストが先物価格に上乗せされるため、遠い限月ほど価格が高くなるのです。
しかし、時にはこの原則とは逆の現象が起こることがあります。近い限月の価格が遠い限月の価格を上回る現象、これが逆鞘です。別名バックウォーデーションとも呼ばれます。例えば、3ヶ月後の米ドルに対する円の価格が1ドル100円、6ヶ月後の価格が1ドル99円だとします。これは近い将来の方が円の価値が高く、遠い将来の方が円の価値が低い、つまり円高になっている状態です。この状態が逆鞘です。
なぜ逆鞘が発生するのでしょうか?それは、現在の市場で商品が不足している時や、近い将来に不足する可能性が高いと予想される時に発生しやすいです。例えば、ある農作物が不作だった場合、すぐに手に入る現物の価格は高騰しますが、将来の豊作が期待できれば、遠い限月の価格はそれほど高くなりません。そのため、近い限月の価格が遠い限月の価格を上回り、逆鞘の状態になります。また、原油などの商品で、すぐに商品が必要な場合、多少高い価格でも購入する必要があり、この需給の逼迫が逆鞘を引き起こすこともあります。このように、逆鞘は市場の需給バランスや将来の価格予想を反映した重要な指標となります。