名義貸しは危険?仮名取引の落とし穴
仮名取引とは、証券口座の名義人と実際の取引者が異なる取引のことです。口座の名義は借りたもの、あるいは存在しない人物のものを使っており、まるで覆面を被って取引しているかのように、真の取引主は隠されています。具体的には、家族や友人など、自分以外の人の名義を借りた口座で株や債券などを売買したり、架空の人物の名義を使った口座で取引を行う行為が該当します。
一見すると、他人の名義を借りるだけで大きな問題にはならないように思えるかもしれません。しかし、仮名取引は証券取引の公正さを揺るがす行為として、法律や自主規制規則によって固く禁じられています。
なぜ仮名取引が禁止されているのでしょうか。まず、名義を貸した側にとってのリスクを考えてみましょう。名義貸しは、税務調査の際に追徴課税を受ける可能性があります。また、借りた人が多額の損失を出した場合、その責任を問われる可能性も出てきます。さらに、犯罪に悪用された場合、刑事責任を負う可能性も否定できません。
名義を借りた側も大きなリスクを負います。仮名取引は、インサイダー取引などの不正を隠蔽する手段として使われる可能性があります。もし発覚すれば、刑事罰を受けるだけでなく、社会的な信用を失墜させることにもなりかねません。また、名義を貸した人とトラブルになった場合、取引で得た利益を返還しなければならない可能性も出てきます。
このように、仮名取引は名義を貸した人も借りた人も、予期せぬ法的責任や金銭的な損失を被る危険性があるため、絶対に避けるべき行為です。健全な市場を守るためにも、常に自分の名義で取引を行うようにしましょう。