CDS入門:信用リスク取引の仕組み
信用リスク取引とは、ある会社あるいは国が借りたお金を返済できなくなる危険性を扱うお金のやり取りのことです。会社は事業を行うためにお金が必要になることがあり、そのお金は銀行から借りたり、社債を発行することで集めます。しかし、お金を借りた側が約束通りに返済できないかもしれないという不安は常に付きまといます。この返済できないかもしれないという不安を信用リスクと言います。信用リスク取引はこの信用リスクそのものを売買する取引です。
信用リスク取引の一つに、信用違約スワップと呼ばれるものがあります。これは、ある会社が発行した債券の信用リスクを、他の投資家が代わりに引き受ける代わりに、リスクを引き受ける投資家は定期的に保険料のようなお金を受け取るという仕組みです。この保険料は、信用リスクの高さによって変わります。リスクが高い、つまりお金を返済できない可能性が高いほど、保険料も高くなります。
信用リスク取引は、リスクを避けるためだけに使われるのではありません。たとえば、ある会社の業績が悪化しそうだと予想した場合、その会社の信用リスクが高まると予想できます。この時、信用リスクをあらかじめ買っておけば、実際に業績が悪化し信用リスクが高まった時に、高く売却することで利益を得ることができます。このように、信用リスク取引は、将来の予測に基づいて利益を得るための投資としても利用されています。
また、信用リスク取引は、会社だけでなく国の財政状況の悪化リスクなども対象にできます。世界経済の状況が不安定な時期には、特に注目される取引と言えるでしょう。信用リスクを正しく理解し、適切に活用することで、リスク管理や投資機会の拡大に繋がります。