個別取引信用額とは?リスク管理の重要性
債券の個別取引信用額とは、債券の現先(げんさき)取引に潜む危険性を測る物差しのようなものです。現先取引とは、債券を一時的に売って、後日あらかじめ決めた日に買い戻す取引のことです。簡単に言うと、お金を借りる代わりに債券を担保にするような仕組みです。
この取引では、将来買い戻す時の値段と、売却時の値段に差が生じることがあります。物価の変動など様々な要因で、債券の価値が日々変わるからです。この値段の差が、個別取引信用額、または信用危険額と呼ばれます。この信用危険額は、買い戻す値段が現在の市場価格よりも高い場合に発生します。 例えば、100万円で売った債券を105万円で買い戻す約束をしたとします。もし買い戻す日までに債券の価値が下がり、市場価格が95万円になっていたら、買い戻し価格は市場価格より10万円も高くなっています。この10万円が信用危険額です。
なぜこれが危険なのかというと、取引相手が約束通りに債券を買い戻せなかった場合、損失を被る可能性があるからです。 先ほどの例で、相手が債券を買い戻せなかった場合、あなたは市場で95万円でしか売れない債券を105万円で買い取ることになり、10万円の損失が出ます。これが信用危険額の意味するところです。
そのため、この個別取引信用額をきちんと把握し、適切に管理することは、債券投資を行う上で、危険を避けるために非常に大切です。 危険度合いを把握することで、損失を最小限に抑える対策を立てることができます。信用度の高い取引相手を選ぶ、危険額が大きくなりすぎないよう取引規模を調整するなど、様々な方法で危険を管理することができます。