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購買力平価説:為替レートの動向を探る

物の値段は国によって違います。同じものでも、日本では安く買えるのに、アメリカでは高くつく、というようなことはよくあります。この値段の違いと、お金の交換比率(為替レート)には深い関係がある、という考え方が購買力平価説です。購買力平価説には、絶対的購買力平価説と相対的購買力平価説の二種類があります。 まず、絶対的購買力平価説とは、同じ商品であれば、どの国でも同じ値段で買えるはず、という考え方です。例えば、日本で100円のりんごが、アメリカで2ドルだとしたら、1ドルは50円になるはずだ、ということです。もし1ドルが60円だとしたら、アメリカでりんごを買う方が高くついてしまうので、円をドルに両替してアメリカでりんごを買った方がお得になります。たくさんの人がそうすると、ドルの需要が高まり、最終的には1ドル50円の為替レートに落ち着く、というわけです。 しかし、現実の世界では、輸送費や関税、国ごとの政策など様々な要因の為に、物価が完全に一致することはありません。そこで、相対的購買力平価説が登場します。これは、物価の上がり具合(物価上昇率)の違いが、為替レートの変化に繋がるという考え方です。例えば、日本の物価上昇率がアメリカの物価上昇率よりも高い場合、円の価値は相対的に下がり、ドルの価値は相対的に上がります。これは、物価が上がると、同じ量の貨幣で購入できる商品の量が少なくなるためです。すると、円を売ってドルを買う人が増え、円安ドル高に向かうとされています。 購買力平価説は、為替レートがどのように決まるのかを考える上で、とても大切な考え方です。ただし、あくまで理論なので、現実の為替レートの動きを完璧に説明できるわけではありません。為替レートは、様々な要因が複雑に絡み合って変動するからです。しかし、長期的な為替レートの変動を理解する上では、購買力平価説は役に立つと考えられています。