スタグフレーションへの対策
スタグフレーションとは、景気の停滞と物価の上昇が同時に起こる厄介な経済現象です。通常、景気が悪くなるとモノやサービスの需要が減り、物価は下がっていくものです。しかし、スタグフレーションでは、景気が冷え込んでいるにも関わらず、物価は上がり続けます。これは、モノが作れなくなったり、流通に問題が生じたりする供給側の問題が原因となっていることが多いです。
例えば、原油価格が高騰すると、ガソリン代や製造コストが上がります。また、世界的な疫病の流行などで部品の供給が滞れば、製品の価格が上がってしまいます。このような供給不足による物価上昇は、景気が悪い時でも発生しうるため、スタグフレーションを引き起こすのです。スタグフレーションの下では、家計は生活必需品の購入に苦労し、企業はコスト増加に苦しみ、利益を確保することが難しくなります。
1970年代の石油危機では、このスタグフレーションが世界経済に大きな打撃を与えました。石油価格の急騰により、多くの国で物価が急上昇する一方で、経済成長は鈍化しました。政府は景気を刺激するために金融緩和策を取りましたが、物価上昇には歯止めがかからず、経済状況は悪化の一途をたどりました。この経験から、スタグフレーションは対策が難しい経済問題であることが広く認識されるようになりました。
現代社会においても、地政学的なリスクや異常気象など、スタグフレーションを引き起こす可能性のある要因は数多く存在します。私たちは常にこのような経済状況の発生を念頭に置き、適切な対策を検討していく必要があるでしょう。