名目金利と実質金利:資産運用の基礎知識
名目金利とは、お金を貸したり、投資したりすることで受け取れる利子の割合を、元本に対して示したものです。例えば、銀行に100万円を預けて、一年後に1万円の利子を受け取れるとします。この時、1万円を元本100万円で割って100を掛けると1%になります。この1%が名目金利です。
私たちが普段銀行の預金金利や債券の利回りなどで目にする金利は、ほとんどの場合この名目金利です。名目金利を見ると、高いほど得するように感じますが、注意が必要です。名目金利は物価の変動を考慮していないからです。
例えば、100万円を年1%の名目金利で運用して1年後101万円になったとします。しかし、この1年の間に物価が2%上昇したとすると、101万円で買えるものの量は、1年前の100万円よりも少なくなってしまうのです。つまり、お金の価値は目減りしていることになります。
このように、名目金利だけでは、投資で本当に得をしているのかどうかを判断することはできません。物価の変動も考慮に入れた「実質金利」を見る必要があります。実質金利は、名目金利から物価上昇率を引いた値で計算されます。
私たちの生活に置き換えて考えてみましょう。お米10kgを1万円で買ったとします。1年後、お米の値段が2%上がって1万200円になりました。この時、もし私たちの収入が1%しか増えていなければ、以前と同じ量のお米を買うことはできなくなります。これは物価上昇率が収入の増加率を上回っているからです。資産運用でも同じことが言えます。名目金利が物価上昇率を上回っていなければ、実質的には損をしている可能性があるのです。そのため、投資判断をする際は、名目金利だけでなく、物価の変動にも注意し、実質的な利回りで考えることが大切です。