インハウス運用

記事数:(1)

年金

年金資産の自家運用:インハウス運用とは

老後の生活資金を支える年金資産の運用は、将来の年金給付を確実にするという重要な役割を担っています。これまで、多くの年金基金は、専門的な知識や経験を持つ外部の運用会社に資産運用を委託するのが主流でした。しかし近年、年金基金が自ら運用を行う「自家運用」という選択肢が増加傾向にあります。自家運用とは、外部に委託せず、組織内で資産運用を行う方法です。 自家運用には、いくつかの利点があります。まず、外部委託に伴う手数料を削減できることが挙げられます。外部委託の場合、運用会社に支払う手数料が発生しますが、自家運用であれば、このコストを抑えることができます。次に、運用方針を主体的に決定できる点もメリットです。外部委託では、運用会社と協議しながら方針を決めますが、自家運用であれば、年金基金自身で方針を決定し、迅速かつ柔軟に運用できます。 自家運用が選択しやすくなった背景には、法制度の改正があります。2000年6月に実施された規制緩和により、それまで500億円とされていた資産規模規制が撤廃されました。また、運用可能な資産の種類も拡大されました。これらの規制緩和が、自家運用という選択肢への門戸を広げたと言えるでしょう。 しかし、自家運用には、高度な専門知識や経験が必要となるため、運用のための体制整備が不可欠です。専門人材の確保や育成、システムの構築などに、相応のコストと時間を要します。また、運用成績が直接的に年金基金の財政に影響するため、責任も重大です。そのため、自家運用を選択する際には、メリットとデメリットを慎重に比較検討する必要があります。