相場の踊り場:調整局面を読み解く
株式投資の世界では、株価は常に上がり続けるわけではなく、上昇と下降を繰り返しながら全体としては上昇していく傾向があります。この上昇途中に起こる、一時的な下落もしくは停滞の期間を調整局面と呼びます。まるで登山で、頂上を目指す途中で少し平坦な道や軽い下り坂に差し掛かるようなものです。頂上(株価の最高値)を目指すには、こうした平坦な道や軽い下り坂も必ず通る必要があるのです。
株価が上昇する局面では、楽観的な気持ちから多くの投資家が株を買い求め、価格を押し上げます。しかし、ある程度の高値になると、利益確定のために売却する投資家が現れたり、今後の経済状況への不安感から買い控えたりする投資家も出てきます。すると、需要と供給のバランスが崩れ、株価は上昇の勢いを失い、調整局面へと入っていくのです。
調整局面では、株価は大きく変動することは少なく、比較的落ち着いた動きを見せることが多いです。しかし、この落ち着いた動きは、嵐の前の静けさとも言えます。調整局面の長さや下落の幅は、その時の市場環境や経済状況によって大きく異なります。短期間で終わることもあれば、数ヶ月続くこともあり、下落幅も数パーセントから20パーセント程度まで様々です。
調整局面は、投資家心理が揺れ動く難しい局面です。しかし、今後の相場展開を占うための重要な期間でもあります。市場全体の動向や個々の企業の業績などを注意深く観察することで、次の大きな上昇局面への備えをすることができるのです。慌てて売却するのではなく、冷静に相場を見極め、中長期的な視点で投資判断を行うことが大切です。