委託現先で賢く投資資金を活用
委託現先とは、証券会社を通して株式を一時的に売却し、将来定められた日に同じ株式を買い戻す取引です。まるで株式を担保にお金を借りるような仕組みで、急な出費や新たな投資資金が必要になった際に活用できます。
具体的には、保有する株式を証券会社に売却し、売却代金を受け取ります。この時、将来の買い戻し日と買い戻し価格をあらかじめ決めておきます。そして、買い戻し日に証券会社から同じ銘柄の株式を買い戻すことで、取引が完了します。
売却価格と買い戻し価格の差額が、実質的に金利に相当する費用となります。この費用は、証券会社が株式を保有している期間の金利やリスクなどを踏まえて決定されます。
委託現先を利用する最大のメリットは、株式を手放すことなく資金を調達できる点です。株式を売却してしまうと、その後の値上がり益を得る機会を失ってしまいますが、委託現先であれば、値上がり益の機会を維持しつつ、必要な資金を確保できます。
例えば、保有株の値上がりが期待される一方で、魅力的な新規公開株に投資したい場合、委託現先を利用することで、保有株を売却せずに新規公開株へ投資する資金を調達できます。また、急な出費が必要になった場合でも、保有株を売却せずに資金を用意することが可能です。
株式の所有権は一時的に証券会社に移りますが、議決権や配当金などの権利は顧客が保有し続けます。つまり、株主としての権利は維持したまま、一時的に資金を調達できるのです。このように委託現先は、資金調達の手段として柔軟性が高く、投資戦略の幅を広げるのに役立ちます。