年金制度における代行部分の役割
老後の暮らしの支えとなる年金制度は、国民年金と厚生年金という二つの柱で成り立っています。このうち、厚生年金には会社員や公務員などが加入し、受け取る年金額は現役時代の給与額と加入期間によって決まります。この厚生年金の一部を、会社などが設立した厚生年金基金が国に代わって支給する仕組みを代行部分といいます。
厚生年金には、加入期間の長さによって支給額が決まる老齢基礎年金と、現役時代の給与額と加入期間によって支給額が決まる老齢厚生年金があります。代行部分は、この老齢厚生年金の一部を厚生年金基金が肩代わりするものです。具体的には、老齢厚生年金は、現役時代の給与を計算し直す再評価と、物価の変動に合わせて年金額を調整する物価スライドを考慮して計算されますが、代行部分はこの再評価と物価スライドを除いた部分を指します。
つまり、厚生年金基金は、加入者に対して将来受け取るべき老齢厚生年金の一部を前もって支給する役割を担っているのです。これは、会社が従業員の老後生活をより手厚く保障するための仕組みといえます。また、この仕組みは、国が運営する公的年金と、会社などが運営する企業年金の連携によって、より安定した年金給付を実現することを目指しています。
しかし、近年では厚生年金基金を取り巻く環境の変化や、運用難などから、厚生年金基金の解散も増えています。そのため、代行部分の支給についても、今後どのように変化していくのか注目が集まっています。