国民純生産:国の真の豊かさを測る指標
国民純生産(国民純生産)とは、ある国で一定期間内に新しく生み出された価値を示す大切な尺度です。これは、国民総生産(国民総生産)から、物を作る活動で失われた価値を引いて計算されます。国民総生産は、国内に住む人々が生み出したすべての価値の合計ですが、物を作るには建物や機械など様々な道具が必要です。これらの道具は使っていくうちに少しずつ古くなり、価値が下がっていきます。この価値の下がり分を固定資本減耗と言います。国民純生産は、国民総生産からこの固定資本減耗を引くことで、実際に新しく増えた価値をより正確に表すことができます。
例を挙げて考えてみましょう。パン屋さんが一年間に100万円分のパンを売ったとします。これが国民総生産に相当します。しかし、パンを作るために使ったオーブンやミキサーは、一年間使うことで10万円分の価値が下がったとします。これが固定資本減耗です。この場合、国民純生産は100万円から10万円を引いた90万円となります。つまり、このパン屋さんは一年間で実際に90万円分の新しい価値を生み出したと言えるのです。
このように、国民純生産は、経済の本当の力を測る上で欠かせない指標となっています。経済の成長を考える際には、単に生産されたものの合計だけでなく、その過程で失われた価値も考慮に入れる必要があります。国民純生産は、より長く続く経済成長を考える上で、とても重要な役割を果たしていると言えるでしょう。