国の支出増で投資減?
国の予算が増加すると、市場にお金が大量に流れ込みます。これは、池に大量の水を注ぎ込むようなもので、市場全体に広くお金が行き渡るイメージです。 このお金は人々の消費や企業の投資を促し、経済活動を活発にする力を持っています。しかし、国の支出増は良いことばかりではなく、同時に「資金の奪い合い」という問題を引き起こす可能性があるのです。 この現象は、専門用語で「クラウディング・アウト」と呼ばれています。
国が多くの事業を行うためにお金を借りると、市場でお金を借りたい人が増えます。企業は事業拡大のため、人々は家を買うためなど、お金の使い道は様々です。しかし、お金の量は限られています。そのため、国と民間企業、そして個人がお金を借りるために奪い合う状態になります。これは、市場で品薄の商品が出た時に価格が上がるのと同じ原理で、お金の奪い合いが激しくなると、お金を借りるための費用である金利が上がってしまうのです。
金利の上昇は、民間企業の投資意欲を削ぎます。なぜなら、お金を借りるためのコストが増加するため、新しい事業への投資をためらうようになるからです。また、個人にとっても住宅を買うためのお金を借りる費用が増えるため、購入を控える人が増える可能性があります。
このように、国の支出の増加は、一見すると経済を活発にするように見えますが、同時に民間の投資を抑制し、経済成長の妨げになる可能性があるのです。池に水を注ぎ込むようにお金を市場に投入しても、資金の奪い合いによって金利が上昇すれば、かえって経済活動を阻害するという、複雑な現象が発生するのです。