オプション取引のOTMを理解する

オプション取引のOTMを理解する

投資の初心者

先生、『OTM』ってどういう意味ですか?

投資アドバイザー

OTMは『アウト・オブ・ザ・マネー』の略で、オプションを行使しても利益が出ない状態のことだよ。例えば、今100円のりんごを買う権利(コールオプション)を10円で買ったとする。でも、りんごの値段が90円に下がったら、権利を行使して100円で買っても損だよね?これがOTMの状態だよ。

投資の初心者

なるほど。でも、りんごの値段が95円だったらどうですか?権利を行使すれば5円の損ですが、権利を買った10円よりは損失は少ないですよね?

投資アドバイザー

良い質問だね。95円の場合もOTMだよ。オプションの価値は権利行使で得られる利益だけでなく、将来価格が有利な方向に動く可能性も含んでいるんだ。でも、OTMでは権利行使しても利益が出ないから、権利行使はせず、権利の価値がゼロになる可能性が高いんだ。

OTMとは。

投資の用語で「OTM」というものがあります。これはオプション取引で権利を行使した際に損失が出る状態を指します。具体的には、買う権利(コールオプション)の場合、権利を行使できる価格よりも市場価格が低い状態、そして売る権利(プットオプション)の場合、権利を行使できる価格よりも市場価格が高い状態のことを言います。OTMの状態が非常に進んでいて、権利行使価格と市場価格の差が大きいオプションは、「ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー」と表現されます。

オプションの価格と損益

オプションの価格と損益

買い手と売り手双方にとって、オプション取引は損益が大きく変わる可能性を秘めています。この損益の変動は、いくつかの要因が複雑に絡み合って生じます。まず、オプション価格の基礎となる「原資産」の価格変動は、オプションの価値に直接影響を与えます。例えば、株価が上がった場合、その株を買う権利であるコールオプションの価値は上がり、反対に株を売る権利であるプットオプションの価値は下がります。逆に株価が下がった場合は、コールオプションの価値は下がり、プットオプションの価値は上がります。

次に、「権利行使価格」も重要な要素です。これは、オプションの買い手が原資産を売買できる価格のことです。原資産の価格が権利行使価格を上回った場合、コールオプションは利益を生み、プットオプションは損失を生みます。反対に原資産の価格が権利行使価格を下回った場合、コールオプションは損失を生み、プットオプションは利益を生みます。

さらに、オプションの価値は「満期日」までの時間の経過と共に変化します。満期日が近づくにつれて、オプションの価値は時間的価値を失っていきます。これは、将来の価格変動による利益を得られる可能性が時間と共に減少するためです。満期日において、オプションの価値は原資産の価格と権利行使価格の差額によってのみ決定されます。

これらの要素に加えて、市場の変動性もオプション価格に影響を与えます。市場の変動性が大きいほど、将来の価格変動の幅が大きくなる可能性が高いため、オプションの価値は高くなります。反対に、市場の変動性が小さいほど、オプションの価値は低くなります。

オプション取引を行う際には、これらの要素を総合的に考慮し、潜在的な利益と損失を慎重に見積もる必要があります。市場の動きを完全に予測することは不可能ですが、これらの要素を理解することで、より確かな投資判断を行い、リスク管理を効果的に行うことができます。

要因 コールオプション プットオプション
原資産価格上昇 価値上昇 価値下落
原資産価格下落 価値下落 価値上昇
原資産価格 > 権利行使価格 利益 損失
原資産価格 < 権利行使価格 損失 利益
満期日接近 時間的価値減少 時間的価値減少
市場変動性大 価値上昇 価値上昇
市場変動性小 価値下落 価値下落

OTM(アウト・オブ・ザ・マネー)とは

OTM(アウト・オブ・ザ・マネー)とは

権利行使価格と市場価格の関係で理解する必要があるのが、OTM(アウト・オブ・ザ・マネー)です。これは、オプション取引において、今すぐ権利を行使しても利益が出ない状態のことを指します。

コールオプションとプットオプション、それぞれでOTMの状態は異なります。コールオプションは、あらかじめ定めた価格(権利行使価格)で株などを買う権利のことです。このコールオプションの場合、権利行使価格よりも市場価格が低い状態がOTMとなります。例えば、100円で株を買う権利を持っているのに、市場では90円で売られている場合です。無理に権利を行使して100円で買うよりも、市場で90円で買った方が安く済みます。

一方、プットオプションは、あらかじめ定めた価格で株などを売る権利のことです。プットオプションの場合、権利行使価格よりも市場価格が高い状態がOTMです。例えば、100円で株を売る権利を持っているのに、市場では110円で売られている場合です。権利を行使して100円で売るよりも、市場で110円で売った方が高く売れます。

このように、OTMのオプションは、権利行使時点では価値がないように見えます。しかし、将来の価格変動に期待して取引されている点が重要です。投資家は、市場価格が将来、OTMからITM(イン・ザ・マネー利益が出る状態)に転じる可能性に賭けているのです。

例えば、コールオプションを持っている場合、市場価格が上昇し、権利行使価格を上回れば利益が出ます。プットオプションを持っている場合、市場価格が下落し、権利行使価格を下回れば利益が出ます。このように、OTMのオプションは、市場の大きな変動を期待する投資家にとって、少ない投資額で大きな利益を狙える魅力的な投資対象となり得ます。ただし、予想が外れれば権利を放棄することになり、支払ったオプション料は失われてしまいます。

オプションの種類 権利行使価格 市場価格 状態 利益の有無
コールオプション
(買う権利)
100円 90円 OTM なし
110円 ITM あり
プットオプション
(売る権利)
100円 110円 OTM なし
90円 ITM あり

コールオプションにおけるOTM

コールオプションにおけるOTM

買う権利をあらわす選択肢(コールオプション)において、権利を行使できる価格(行使価格)よりも現在の商品の値段(市場価格)が低い状態を「OTM(アウト・オブ・ザ・マネー)」といいます。これは、買った権利が今はお金にならない状態を指します。

例を挙げましょう。ある商品の行使価格が100円のコールオプションを持っているとします。つまり、あなたは100円でその商品を買う権利を持っているということです。しかし、現在の市場価格は90円です。この場合、もしあなたが100円で買う権利を行使すると、90円でしか売れないので、10円の損をしてしまいます。そのため、この状態はOTMと呼ばれます。

では、なぜOTMのコールオプションを買う人がいるのでしょうか?それは、将来、市場価格が上がると予想しているからです。もし市場価格が100円を超えれば、100円で買う権利を行使して、それ以上の価格で売ることで利益を得ることができます。例えば、市場価格が120円になれば、100円で買って120円で売ることで20円の利益が得られます。

しかし、市場価格が予想通りに上がらなければ、コールオプションの価値は下がり、損失が発生します。権利行使日までに市場価格が行使価格を上回らなければ、買った権利はただの紙切れ同然になってしまいます。

このように、OTMのコールオプションは大きな利益を得られる可能性がある一方、損失が出る危険性も高い投資です。そのため、高い利益を狙う代わりに高い危険性も受け入れる投資であると言えます。投資する際は、市場の動向をよく見極め、慎重な判断が必要です。

状態 市場価格 行使価格 状況 結果
OTM 90円 100円 権利行使すると損失(10円) 市場価格が100円を超えれば利益、超えなければ損失
120円 100円 権利行使で利益(20円) 利益確定

プットオプションにおけるOTM

プットオプションにおけるOTM

売り持ちの権利のことであるプットオプションにおいて、OTM(アウト・オブ・ザ・マネー)とは、権利行使価格が現在の市場価格よりも高い状態のことを指します。例えば、ある株式の現在の市場価格が110円だとしましょう。そして、あなたがこの株式のプットオプションを、権利行使価格100円で保有しているとします。この場合、このプットオプションはOTMの状態です。

なぜなら、あなたが100円で売る権利を持っているにも関わらず、市場では110円で売買されているからです。仮に今すぐこの権利を行使して100円で売ったとしても、すぐに市場で110円で買い戻す必要が生じるため、10円の損失が出てしまいます。OTMのプットオプションは、将来の価格下落を見込んで購入されることが多い投資手法です。

もし市場価格が予想通り下落し、権利行使価格である100円を下回った場合、プットオプションの価値は上昇します。例えば、市場価格が90円になったとしましょう。この時、あなたは90円の株式を100円で売る権利を持っているため、10円の利益を得ることができます。しかし、価格が予想に反して上昇した場合、プットオプションの価値は下落し、損失が発生します。

例えば、市場価格が120円に上昇した場合、100円で売る権利は全く価値を持たなくなってしまいます。つまり、OTMのプットオプションは、大きな利益を得られる可能性がある一方、損失が出る可能性も高い、ハイリスク・ハイリターンの投資戦略と言えるでしょう。価格の変動幅が大きい銘柄や、市場全体の大きな下落局面が予想される場合に、OTMのプットオプションは有効な投資戦略となり得ますが、常に損失のリスクを理解した上で、慎重な判断が必要です。

プットオプションの状態 権利行使価格 市場価格 状況 損益
OTM 100円 110円 権利行使価格 < 市場価格 -10円 (100円で売って110円で買い戻す必要あり)
ITM 100円 90円 権利行使価格 > 市場価格 +10円 (90円の株式を100円で売れる)
OTM 100円 120円 権利行使価格 < 市場価格 権利行使は無価値

ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー

ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー

権利価格と現在の市場価格との差が非常に大きいオプションのことを、権利行使価格から大きく外れた、つまり「ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー」の状態と呼びます。これは、市場の動きが予測と大きく異なった場合にのみ利益が出る可能性がある、いわば一攫千金を狙う取引手法です。例えば、ある商品の現在の価格が50円だとします。この商品の100円で買う権利(コールオプション)を保有していた場合、この権利を行使して利益を出すには、商品の価格が100円を超える必要があります。この時、権利行使価格100円と現在の市場価格50円との差が大きいほど、このオプションは「ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー」の状態にあると言えます。同様に、100円で売る権利(プットオプション)の場合、現在の市場価格が150円であれば、権利行使価格との差が50円あり、これも「ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー」の状態です。

これらのオプションの魅力は、価格が非常に安いことです。少ない資金で大きな枚数を保有できるため、仮に市場価格が想定通りに大きく動けば、大きな利益を得ることが可能です。しかし、市場価格が権利行使価格に近づく可能性は低いため、利益を得られる確率は極めて低いと言えます。多くの場合、権利行使価格に到達せず、オプションの価値がゼロになるリスクを負います。つまり、成功すれば大きなリターンが期待できる一方、損失が出る可能性が非常に高いのです。

このように、ハイリスク・ハイリターンの特徴を持つ「ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー」のオプション取引は、市場の動向を的確に予測する高度な分析力と、損失を許容できるだけの資金力、そして冷静な判断力が必要です。市場の仕組みをよく理解し、リスクを十分に認識した上で、慎重に投資判断を行う必要があります。決して安易に手を出すべきものではなく、経験豊富な投資家向けの戦略と言えるでしょう。

オプションの種類 権利行使価格 現在の市場価格 状態 損益 特徴
コールオプション 100円 50円 ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー 価格が100円を超えた場合に利益
100円以下の場合、損失
権利価格が安いため、大きな枚数を保有可能。
市場が想定通りに動けば大きな利益。
しかし、権利行使価格に到達せず価値がゼロになるリスクが高い。
プットオプション 100円 150円 ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー 価格が100円以下の場合に利益
100円以上の場合、損失