一部出来注文:その意味と注意点

一部出来注文:その意味と注意点

投資の初心者

先生、『一部出来』ってどういう意味ですか?

投資アドバイザー

そうだね。『一部出来』とは、株を買いたい、または売りたいと思った時に、希望した株数すべてではなく、一部だけが売買できた状態のことをいうんだよ。

投資の初心者

例えば、100株買いたいのに、50株しか買えなかったら、それは『一部出来』ってことですね?

投資アドバイザー

その通り!まさにそういうことだよ。残りの50株は、また改めて注文を出す必要があるんだ。

一部出来とは。

『一部出来』という投資用語について説明します。これは、注文した株数のうち、一部だけが売買契約(約定)できたことを意味します。

一部出来とは

一部出来とは

株式投資では、自分が買いたい、または売りたいと考える株数を希望通りに全部一度に売買できるとは限りません。注文した株数のうち、一部だけが約定してしまうことを『一部出来』と言います。

例えば、ある会社の株を1000株買いたいと思って注文を出したとします。しかし、市場で売りが500株しか見つからないと、500株だけが約定し、残りの500株は買えずに残ってしまいます。この約定した500株分を『一部出来』と呼びます。残りの500株は、引き続き市場で売りが出てくるのを待つ状態となります。

投資を始めたばかりの方は、注文を出せば必ず希望通りの株数が買える、または売れると考えている方もいるかもしれません。しかし、株式市場の状況によっては、必ずしも希望通りに約定しないということを知っておくことが大切です。

では、どのような時に『一部出来』が発生しやすいのでしょうか。あまり売買が活発でない銘柄は、そもそも市場に出回る株数が少ないため、『一部出来』が起こりやすくなります。また、株価が大きく変動している銘柄も『一部出来』が発生しやすい傾向があります。価格の変動が激しい時は、売買のタイミングが難しく、希望の価格で売買できない可能性が高まるからです。

『一部出来』が発生した場合、約定した株数と未約定の株数をしっかり確認し、今後の売買戦略を考えることが大切です。未約定の株については、そのまま注文を出し続けるか、注文を取り消すか、あるいは価格を変更して注文し直すかなどを検討する必要があります。

用語 説明
一部出来 注文した株数のうち、一部だけが約定すること
約定 売買が成立すること
未約定 売買が成立しなかった株数
一部出来が発生しやすい状況 売買が活発でない銘柄、株価が大きく変動している銘柄
一部出来発生時の対応 約定株数と未約定株数の確認、注文継続・取消・価格変更の検討

一部出来の発生理由

一部出来の発生理由

株式の売買において、注文した数量の一部だけが成立する「一部出来高」という現象があります。これは、市場での売買注文のバランスが崩れることで起こります。

需要と供給の不一致が、一部出来高の主な原因です。例えば、あなたが100株のりんごを1個100円で買いたいとします。しかし、市場には100円で売っても良いというりんごが50個しかありません。この場合、50個のりんごだけが売買され、残りの50個は買えません。これが株式市場で起こると、一部出来高となります。

大きな注文の場合も、一部出来高が発生しやすくなります。一度にたくさんのりんごを買おうとしても、市場にそれほど多くのりんごがない場合、全部買うことはできません。買い注文に対応できるだけの売り注文がないため、一部だけが成立し、残りは未成立となります。

また、価格の変動が激しい銘柄も、一部出来高が発生しやすい傾向があります。りんごの価格が常に変動している市場では、買いたいと思った瞬間に100円だったとしても、実際に買おうとする時には110円になっているかもしれません。100円で買えるだけのりんごの数が少なくなっているため、希望する数量を全て買うことができず、一部出来高となります。

このように、市場の状況や注文の規模、価格の変動など、様々な要因が複雑に絡み合って一部出来高が発生します。注文を出す際には、これらの要因を考慮に入れておくことが大切です。

要因 説明 例(りんご1個100円の場合)
需要と供給の不一致 買い注文と売り注文の数量が一致しない場合、少ない方の数量だけが成立します。 100個のりんごを買いたいが、市場には50個しか売られていないため、50個だけが買えます。
大きな注文 一度に大量の注文を出すと、市場に存在する数量を上回り、一部しか成立しない場合があります。 1000個のりんごを買いたいが、市場には100個しか売られていないため、100個だけが買えます。
価格の変動 価格が変動しやすい銘柄は、注文時の価格と約定時の価格が乖離し、希望数量が買えない場合があります。 100円で100個のりんごを買いたいが、価格が110円に上昇したため、100円で買えるりんごの数が減り、希望数量を全て買えません。

一部出来への対応

一部出来への対応

株式の売買注文において、希望した数量の一部だけが約定する「一部出来」という状況が発生することがあります。これは、提示した価格で取引できる数量が注文数量よりも少なかった場合に起こります。例えば、100株の買い注文を出したものの、50株しか約定しなかった場合、残りの50株は未約定注文として残ります。

この未約定注文をどう扱うかは、投資家自身の判断に委ねられます。いくつかの選択肢があり、それぞれに利点と欠点があります。まず、未約定注文をそのまま維持する方法があります。これは、株価の動向が自分の予測通りに進んでいる場合に有効です。残りの株数もいずれ約定すると期待できるのであれば、そのまま待つのも一つの戦略です。

次に、注文を取り消す方法があります。株価が予測に反して動き、損失が出る可能性が高くなった場合、これ以上の損失を防ぐために注文を取り消すという選択は合理的です。

最後に、価格を変更して再度注文を出す方法があります。例えば、買い注文の場合、株価が上昇しているならば、より高い価格で再度注文を出すことで約定の可能性を高めることができます。逆に、株価が下落しているならば、より低い価格で注文し直すことで、平均取得価格を下げ、利益を確保しやすくなる可能性があります。

このように、一部出来が発生した場合の対応は状況によって異なります。市場の動向、自身の投資戦略、そしてリスク許容度を考慮し、常に冷静に判断することが重要です。焦って行動せず、状況を適切に分析した上で、最適な対応を選びましょう。

状況 対応 利点 欠点
株価が予測通りに推移 未約定注文を維持 残りの株数も約定する可能性あり 株価が反転した場合、損失が出る可能性あり
株価が予測に反して推移、損失が出る可能性大 注文を取り消す 損失の拡大を防ぐ 株価が反転した場合、利益を得る機会を逃す
株価が上昇(買い注文の場合) 価格を上げて再注文 約定の可能性を高める 平均取得価格が上昇
株価が下落(買い注文の場合) 価格を下げて再注文 平均取得価格を下げる 約定しない可能性がある

取引戦略への影響

取引戦略への影響

売買の注文を出したものの、その一部だけが成立することを一部出来と言います。これは、特に短期的な売買を目的とする方や、一日の値動きを利用して利益を狙うデイトレーダーの方々に、大きな影響を及ぼす可能性があります。例えば、ある値段になったら売買を行うと決めていた場合、一部出来によって希望通りの数量が買えなかったり、売れなかったりすることがあります。これにより、せっかく練った作戦も思うように実行できないかもしれません。

さらに、一部出来は売買にかかる費用を増やす要因にもなります。通常、売買が成立するごとに手数料が発生します。一度で全てが成立する場合は一度の手数料で済みますが、一部出来によって複数回に分かれて成立した場合、その回数分の手数料を支払う必要があるため、結果的に手数料が高くなってしまうのです。

また、一部出来は、特に大きな値動きを狙う短期売買において、機会損失につながる可能性も懸念されます。例えば、急激な値上がりを見込んで買ったものの、一部しか約定できなかった場合、その後、価格が予想通りに上昇したとしても、当初予定していた利益を全て得ることができません。逆に、急激な値下がりを見込んで売ったものの、一部しか約定できなかった場合、その後、価格が予想通りに下落したとしても、損失を十分に抑えられない可能性があります。

このように、一部出来は取引の結果に大きな影響を与えるため、売買の作戦を立てる際には、一部出来が発生する可能性も想定しておくことが大切です。注文方法や取引する市場の流動性などを考慮し、一部出来のリスクを軽減するための工夫を行うことで、より確実な売買につなげることができるでしょう。

項目 説明
定義 売買注文の一部のみが成立すること
影響を受ける人 短期売買、デイトレーダー
問題点1 希望通りの数量が売買できないため、作戦がうまくいかない
問題点2 売買成立ごとに手数料が発生するため、手数料が増加
問題点3 大きな値動きを狙う短期売買において、機会損失につながる可能性 急激な値上がり時に買えなかった、または急激な値下がり時に売れなかった
対策 注文方法や市場の流動性を考慮、一部出来発生の可能性を想定

注意点

注意点

株式投資を行う上で、”一部出来”という現象は避けて通れないものです。これは、注文した株数が全部約定せず、一部のみが成立することを指します。売買が成立しなかった株数については、改めて注文を出す必要があります。この一部出来は、市場の流動性に大きく左右されます。

流動性とは、簡単に言うと、売買のしやすさのことです。ある銘柄の人気が高く、多くの投資家が売買に参加している場合、その銘柄の流動性は高いと言えます。反対に、取引参加者が少ない銘柄は流動性が低くなります。流動性が低い銘柄は、希望する価格で取引が成立しにくいため、一部出来が発生しやすくなります。例えば、100株の買い注文を出しても、50株しか約定しないといったことが起こり得ます。

また、成行注文を利用する場合にも、一部出来が発生する可能性があります。成行注文とは、価格を指定せずに、市場で成立する価格で売買注文を出す方法です。確かに、成行注文は確実に約定しやすいというメリットがありますが、市場の状況によっては、希望する数量全てが約定しない可能性があります。特に、相場が大きく変動している時や、取引参加者が少ない時間帯などは、一部出来が発生しやすくなります。

一部出来が発生すると、当初予定していた投資戦略に狂いが生じる可能性があります。想定していたよりも少ない株数しか取得できなかった場合、期待していた利益を十分に得られない可能性があります。また、売却時に一部出来が発生すると、保有株を全て売却できず、損失を被る可能性も出てきます。

このような事態を避けるためには、注文を出す前に市場の状況や銘柄の流動性を十分に確認することが重要です。また、取引を行う証券会社に問い合わせ、一部出来が発生した場合の対応方法を事前に確認しておくことも大切です。想定外の事態に慌てないよう、事前の準備を怠らないようにしましょう。

項目 説明
一部出来 注文した株数が全部約定せず、一部のみが成立すること
流動性 売買のしやすさ。取引参加者が多いほど高い
流動性が高い銘柄 希望する価格で取引が成立しやすい
流動性が低い銘柄 希望する価格で取引が成立しにくく、一部出来が発生しやすい
成行注文 価格を指定せずに、市場で成立する価格で売買注文を出す方法
成行注文のメリット 約定しやすい
成行注文のデメリット 市場の状況によっては、希望する数量全てが約定しない可能性がある
一部出来が発生しやすい状況 相場が大きく変動している時、取引参加者が少ない時間帯、流動性が低い銘柄
一部出来の影響 投資戦略に狂いが生じる可能性、期待していた利益を十分に得られない可能性、売却時に損失を被る可能性
一部出来を防ぐための対策 注文前に市場の状況や銘柄の流動性を確認、証券会社に問い合わせて対応方法を確認