お金にならないオプション:アウト・オブ・ザ・マネーとは?
投資の初心者
先生、「権利を行使したら損しちゃう状態」の『アウト・オブ・ザ・マネー』って、よくわからないです。もう少しわかりやすく教えてもらえませんか?
投資アドバイザー
わかった。例えば、1個100円のりんごを買う権利(コールオプション)を持っているとしよう。この権利の値段は10円だ。ところが、実際のお店でりんごが80円で売られていたらどうだろう? わざわざ10円の権利を行使して100円で買うより、お店で80円で買った方が安いよね。この状態が『アウト・オブ・ザ・マネー』だよ。
投資の初心者
なるほど。権利を使うよりも、普通に買った方が安いから損しちゃうってことですね。でも、りんごを売る権利(プットオプション)の場合はどうなりますか?
投資アドバイザー
いい質問だね。1個100円でりんごを売る権利を持っているとしよう。でも、お店でりんごが120円で売られていたら? 権利を行使して100円で売るより、お店で120円で売った方が得だよね。この時も『アウト・オブ・ザ・マネー』になるんだ。
アウト・オブ・ザ・マネーとは。
投資の世界で使われる『権利行使しても損が出る状態』を表す言葉について説明します。この状態は『アウト・オブ・ザ・マネー』と呼ばれています。例えば、買う権利を持っている場合、権利を行使して買った値段よりも市場価格が低いと損をしてしまいます。逆に、売る権利を持っている場合、権利を行使して売った値段よりも市場価格が高いと損をしてしまいます。このように、権利行使しても利益が出ないどころか損が出てしまう状態を『アウト・オブ・ザ・マネー』と言います。さらに、権利行使価格と市場価格の差が非常に大きい場合、『ものすごく損が出る状態』という意味で『ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー』と表現します。
オプション取引の基礎知識
オプション取引とは、将来のある時点で、ある品物をあらかじめ決めた値段で買う権利もしくは売る権利を取引するものです。買う権利をコールオプション、売る権利をプットオプションと言います。この権利は義務ではないため、将来の状況を見て、権利を使うか使わないかを選べます。
例えば、A社の株価が今100円で、将来120円になると予想したとします。この時、110円で買う権利(コールオプション)を手に入れれば、将来株価が実際に120円になった時に、110円で株を買って、すぐに120円で売ることで利益を得られます。もし株価が110円より下がってしまっても、買う権利を使わなければ、損失は権利を買うのに使ったお金だけですみます。
このように、オプション取引は少ないお金で大きな利益を狙える可能性がありますが、逆に損をする可能性もあります。株価が予想通りに動かなかった場合、権利を買ったお金は無駄になってしまいます。また、予想が大きく外れてしまうと、損失が大きくなることもあります。
オプション取引をする上で大切なのは、市場をよく見て、将来の値動きを予測することです。会社の業績や世の中の景気など、様々な情報を集めて分析し、将来株価が上がるか下がるかを考えます。しかし、将来の値動きを完璧に当てることは不可能です。常に予想が外れる可能性があることを意識し、損失を少なくするための対策を立てておくことが重要です。具体的には、損失が出ても耐えられる範囲で取引する、複数の銘柄に分散投資する、損失額があらかじめ決めた金額以上になったら取引をやめるといった方法があります。
オプション取引は大きな利益を狙える魅力的な取引ですが、同時にリスクも伴います。取引を始める前に、仕組みやリスクをよく理解し、計画的に取引することが大切です。
オプションの種類 | 権利の内容 | 将来の価格 | 損益 |
---|---|---|---|
コールオプション (買う権利) |
110円で買う権利 | 120円(予想以上) | 利益 (120円-110円=10円 – 権利購入費用) |
100円(予想以下) | 損失 (権利購入費用) ※権利行使せず | ||
プットオプション (売る権利) |
110円で売る権利 | 100円(予想以下) | 利益 (110円-100円=10円 – 権利購入費用) |
120円(予想以上) | 損失 (権利購入費用) ※権利行使せず |
メリット | デメリット | リスク管理 |
---|---|---|
少ない資金で大きな利益を狙える | 予想が外れると損失が出る | 損失許容範囲内で取引 |
分散投資 | ||
損切りの設定 |
利益の出ない状態
利益の出ない状態とは、読んで字のごとく、保有している権利を行使しても利益が生まれない状態のことを指します。これは、オプション取引において「権利行使価格」と「市場価格」の関係によって決まるもので、「アウト・オブ・ザ・マネー」という用語で表現されます。
買いの権利であるコールオプションの場合を考えてみましょう。仮に、権利行使価格が100円のコールオプションをあなたが保有しているとします。これは、100円で株を買う権利を持っているということです。しかし、現在の市場価格が90円であればどうでしょうか。あなたは100円の権利を行使して株を買うよりも、市場で90円で買った方が安く済みます。この場合、権利行使価格が市場価格よりも高く、オプションを行使する意味がありません。これがコールオプションにおける利益の出ない状態です。仮に無理に権利を行使すれば、10円の損失が出ることになります。
売りの権利であるプットオプションの場合も同様です。権利行使価格が100円のプットオプションを保有しているとします。これは、100円で株を売る権利を持っているということです。しかし、現在の市場価格が110円であれば、市場で売却した方が高い値段で売却できます。この場合、権利行使価格が市場価格よりも低く、オプションを行使する意味がありません。仮に権利を行使すれば、10円の損失になってしまいます。
このように、オプション取引では権利を持っているだけでは利益は確定しません。市場価格と権利行使価格の関係によって、利益の出ない状態、すなわちアウト・オブ・ザ・マネーの状態が発生することを理解しておく必要があります。オプションの価値は、市場価格の変動によって大きく影響を受けるため、常に市場の動向に注意を払うことが大切です。
オプションの種類 | 権利行使価格 | 市場価格 | 利益の有無 | 状態 |
---|---|---|---|---|
コールオプション(買う権利) | 100円 | 90円 | 利益なし (10円の損失) | アウト・オブ・ザ・マネー |
プットオプション(売る権利) | 100円 | 110円 | 利益なし (10円の損失) | アウト・オブ・ザ・マネー |
コールオプションの場合
買い権利(コールオプション)について、権利行使価格よりも市場価格が低い状態を「権利行使外」と呼びます。この状態を具体的に見ていきましょう。例えば、ある会社の株を買う権利を1000円で手に入れたとします。この1000円が権利行使価格です。ところが、権利の期限が来た時に、その株の市場での値段が900円だったとしましょう。これが権利行使外の状態です。1000円で買う権利を持っているのに、市場では900円で買えるので、権利を使う意味がありません。もし権利を行使して1000円で株を買った場合、900円で買えたはずの株を100円高く買ったことになり、100円の損が出てしまいます。権利行使外の場合、権利は使わずに捨てることになり、支払った権利の値段(プレミアム)だけが損失となります。
では、なぜ権利行使外の買い権利を買う人がいるのでしょうか?それは、株価が今後上がると予想しているからです。権利行使外の買い権利は、権利行使価格内の買い権利に比べて権利の値段(プレミアム)が安く設定されています。もし株価が予想通り上がって権利行使価格を超えた場合、安く買った権利で株を買うことができるので、大きな利益を得られる可能性があります。例えば、株価が1100円になったとすると、1000円で株を買う権利を使って、市場で1100円で売れば100円の利益が出ます。さらに、権利の値段が安ければ安いほど、利益は大きくなります。
しかし、株価が予想に反して上がらなかった場合、権利は紙くず同然になり、支払った権利の値段(プレミアム)は戻ってきません。つまり、権利行使外の買い権利は、大きな利益を狙える一方で、損失が出る可能性も高い、ハイリスク・ハイリターンの投資と言えるでしょう。
状態 | 市場価格 | 権利行使価格 | 結果 | 損益 | 説明 |
---|---|---|---|---|---|
権利行使外 | 900円 | 1000円 | 権利放棄 | プレミアムの損失 | 市場価格 < 権利行使価格のため、権利行使すると損失が出る。 |
権利行使内 | 1100円 | 1000円 | 権利行使 | 100円の利益 – プレミアム | 市場価格 > 権利行使価格のため、権利行使すると利益が出る。 |
項目 | 説明 |
---|---|
権利行使価格 | あらかじめ決められた株を買う価格 |
市場価格 | 権利行使時の市場での株価 |
プレミアム | 権利を買うために支払う価格 |
プットオプションの場合
売り注文を選ぶ権利であるプットオプションについて、利益が出ない状態、つまり無価値な状態を理解することは大切です。これは、お金にならない、損が出るという意味の言葉を使って『アウト・オブ・ザ・マネー』と呼ばれます。
具体的に考えてみましょう。ある会社の株を1株あたり1000円で売る権利であるプットオプションを持っているとします。この1000円という値段は『行使価格』と呼ばれ、あらかじめ決められた価格です。満期日、つまり権利を行使できる最終日に、その会社の株価が1100円だったとしましょう。この時、プットオプションは『アウト・オブ・ザ・マネー』の状態です。なぜなら、市場では1100円で売れる株をわざわざ1000円で売る権利を使う人はいないからです。むしろ、100円損してしまいます。
プットオプションを購入する際に、私たちは権利の対価として『プレミアム』と呼ばれるお金を支払います。『アウト・オブ・ザ・マネー』の状態のまま満期日を迎えたら、この支払ったプレミアムがそのまま損失となります。
では、どのような時にプットオプションで利益が得られるのでしょうか。プットオプションが価値を持つ、つまり利益を生むのは、株価が『行使価格』である1000円を下回った時です。例えば、株価が900円になったとします。この場合、900円でしか売れない株を1000円で売る権利は100円の利益を生みます。この利益から、最初に支払ったプレミアムを差し引いたものが、最終的な利益になります。
将来、株価が下がると予想する投資家は、あらかじめ『アウト・オブ・ザ・マネー』のプットオプションを購入しておくことがあります。株価が大きく下がれば大きな利益を得られる可能性があるからです。また、『アウト・オブ・ザ・マネー』のプットオプションはプレミアムが比較的安いというメリットもあります。そのため、少ない元手で大きな値下がりの利益を狙うことができるのです。
プットオプションの状態 | 株価 | 行使価格 | 状況 | 損益 |
---|---|---|---|---|
アウト・オブ・ザ・マネー | 1100円 | 1000円 | 権利行使せず、市場で売却 | -プレミアム |
イン・ザ・マネー | 900円 | 1000円 | 権利行使 | 100円 – プレミアム |
損失が大きい状態
大きな損失を抱えている状態は、投資において大変厳しい状況です。これは、保有している資産の価値が取得価格を大きく下回っている状態を指します。特にオプション取引において、「権利行使価格」と「市場価格」の差が非常に大きい状態を「ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー」と呼び、大きな損失に繋がる可能性が高い状態です。
例えば、買う権利(コールオプション)を考えてみましょう。権利行使価格が1000円のコールオプションを持っているとします。これは、1000円で株を買う権利のことです。しかし、もし市場価格が500円であれば、1000円で買う権利を行使しても意味がありません。市場で500円で買えるものをわざわざ1000円で買う人はいないからです。この時、コールオプションは「ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー」の状態です。市場価格が大きく上昇して1000円を超えない限り、利益は出ません。
逆に、売る権利(プットオプション)の場合を考えてみましょう。権利行使価格が1000円のプットオプションを持っているとします。これは、1000円で株を売る権利のことです。市場価格が1500円であれば、1000円で売る権利を行使するメリットはありません。市場で1500円で売れるものをわざわざ1000円で売る人はいないからです。この場合もプットオプションは「ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー」の状態です。市場価格が大きく下落して1000円を下回らない限り、利益は期待できません。
このように、「ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー」のオプションは、権利を買うための費用(プレミアム)は非常に安価です。しかし、利益が出る可能性は低いという大きなリスクを伴います。当たれば大きな利益が得られますが、外れれば大きな損失となる、いわゆるハイリスク・ハイリターンの投資戦略と言えます。そのため、相場の見通しをしっかりと持つこと、損失を限定するための工夫をすること、そして余裕資金で運用することが重要です。
オプションの種類 | 権利行使価格 | 市場価格 | 状態 | 損益 | リスク |
---|---|---|---|---|---|
コールオプション (買う権利) | 1000円 | 500円 | ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー | 損失 (権利料を失う) | 高 |
プットオプション (売る権利) | 1000円 | 1500円 | ディープ・アウト・オブ・ザ・マネー | 損失 (権利料を失う) | 高 |
投資判断の重要性
投資という行為は、将来の利益を期待して資金を投じることであり、その成否は投資判断にかかっています。適切な投資判断を行うことは、資産を増やすだけでなく、将来の経済的な安定を築く上でも非常に重要です。
投資判断を行う際には、様々な要素を考慮しなければなりません。まず、市場全体の動向を把握することが大切です。経済の成長期には株価が上昇しやすく、不況期には下落する傾向があります。金利の変動も投資判断に影響を与える重要な要素です。また、投資対象とする個別の企業の業績も分析する必要があります。会社の売上や利益、将来の成長性などを綿密に調べ、その企業の価値を判断する必要があるのです。
これらの情報を分析するだけでは十分ではありません。自分自身の状況も考慮に入れなければなりません。投資経験が浅い場合は、リスクの低い投資商品から始めるのが賢明です。どの程度の損失までなら耐えられるか、いわゆるリスク許容度も把握しておく必要があります。そして、投資に回せる資金はどのくらいあるのか、生活資金を圧迫しない範囲で投資を行うことが大切です。
特に、オプション取引のような複雑な金融商品は、仕組みを正しく理解しないまま取引を行うと、大きな損失を被る危険性があります。オプション取引は、将来のある時点で特定の資産をあらかじめ定めた価格で売買する権利であり、市場価格の変動によって大きな利益を得られる可能性がある一方、損失も大きくなる可能性があります。価格変動の仕組みを理解するには、専門知識が必要です。投資に関する書籍を読んだり、セミナーに参加したりするなどして、自ら積極的に学ぶ姿勢が重要です。さらに、金融の専門家に相談することも有効な手段です。
確かな情報に基づいた冷静な判断と、自分自身の状況を客観的に見つめること。これが、成功する投資への第一歩と言えるでしょう。
考慮すべき要素 | 詳細 |
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市場全体の動向 | 経済の成長期と不況期による株価の変動、金利の変動などを把握する。 |
投資対象の分析 | 企業の売上、利益、将来の成長性などを分析し、企業価値を判断する。 |
自己分析 | 投資経験、リスク許容度、投資可能資金を把握する。 |
複雑な金融商品への注意 | オプション取引などの仕組みを理解し、リスクを把握する。学習や専門家への相談が重要。 |