オプション取引と権利行使価格

オプション取引と権利行使価格

投資の初心者

先生、「権利行使価格」ってよく聞くんですけど、何のことですか?

投資アドバイザー

いい質問だね。「権利行使価格」とは、オプション取引で、あらかじめ決めておいた値段で、株や債券などの資産を買うまたは売る権利のことだよ。例えば、100円の権利行使価格で株を買う権利を持っているとすると、将来、その株の値段が120円になった時に、100円で買う権利を行使すれば、20円の利益が得られるんだ。

投資の初心者

なるほど。でも、もし株価が80円になったらどうなりますか?

投資アドバイザー

その場合は、100円で買う権利を行使する必要はないね。権利を放棄すればいい。損失は権利を買う時に支払った金額だけになる。つまり、権利行使価格は、オプション取引において、将来の取引価格をあらかじめ決めておくための重要な価格なんだよ。

ストライクプライスとは。

投資の世界で使われる『権利行使価格』について説明します。これは、オプション取引で売買する商品のあらかじめ決められた価格のことです。この価格で買う権利、または売る権利を行使できます。

権利行使価格とは

権利行使価格とは

株などの値上がり益や値下がり益を狙う、選択権取引という仕組みがあります。この取引では、あらかじめ決められた値段で、株などの対象資産を売買する権利を取引します。この、あらかじめ決められた値段のことを権利行使価格と言います。この権利行使価格は、選択権の契約時に決まり、契約期間中は変わりません。

例えば、ある会社の株の買う権利の選択権を考えてみましょう。この権利行使価格が1,000円だとすると、選択権を持っている人は、契約期間中、いつでも1,000円でその会社の株を買う権利を持つことになります。もし、その株の市場価格が1,200円に上がった場合、この人は1,000円で株を買い、すぐに1,200円で売れば、200円の利益を得られます。逆に、売る権利の選択権の場合は、権利行使価格が1,000円であれば、契約期間中、いつでも1,000円で株を売る権利を持ちます。もし株価が800円に下がった場合、市場で800円で買った株を、この権利を使って1,000円で売れば、200円の利益が得られます。

この権利行使価格は、選択権の価値を決める重要な要素です。対象資産の市場価格と権利行使価格の関係によって、選択権の価値は大きく変わります。買う権利の場合、市場価格が権利行使価格を上回ると、その差額分だけ価値が上がります。逆に、市場価格が権利行使価格を下回ると、買う権利には価値がなくなります。売る権利の場合は、これとは反対の関係になります。つまり、市場価格が権利行使価格を下回ると価値が上がり、上回ると価値がなくなります。

そのため、選択権取引を行う際は、権利行使価格を慎重に選ぶ必要があります。将来の市場価格の動きを予測し、どの権利行使価格の選択権が最も利益につながるかを検討しなければなりません。これを見誤ると、損失を被る可能性もあるため、注意が必要です。

権利の種類 権利行使価格 市場価格 利益/損失 選択権の価値
買う権利 1,000円 1,200円 200円の利益 増加
800円 なし
売る権利 1,000円 1,200円 なし
800円 200円の利益 増加

権利行使価格の種類

権利行使価格の種類

権利行使価格とは、オプション取引において、あらかじめ定められた価格で原資産を買うまたは売る権利のことです。この権利行使価格には大きく分けて三つの種類があります。

一つ目は、当該の権利をすぐに行使すれば利益が生まれる状態です。これは「権利行使価格内」と呼ばれます。例えば、買う権利であるコールオプションの場合、原資産の市場価格が権利行使価格よりも高い状態を指します。売る権利であるプットオプションの場合、原資産の市場価格が権利行使価格よりも低い状態です。

具体的に考えてみましょう。ある商品のコールオプションを権利行使価格100円で持っているとします。市場価格が120円の場合、この権利を使って100円で買い、120円で売れば20円の利益が得られます。プットオプションの場合、権利行使価格100円で持っていて、市場価格が80円であれば、80円で買って100円で売る権利を行使することで、20円の利益となります。

二つ目は、原資産の市場価格と権利行使価格が同じ状態です。これは「権利行使価格ちょうど」と呼ばれます。この状態では、権利を行使しても利益も損失も発生しません。コールオプションでもプットオプションでも、市場価格と権利行使価格が同じなので、売買しても差額は生じないからです。

三つ目は、当該の権利をすぐに行使すれば損失が出る状態です。これは「権利行使価格外」と呼ばれます。コールオプションの場合、原資産の市場価格が権利行使価格よりも低い状態です。プットオプションの場合、原資産の市場価格が権利行使価格よりも高い状態です。

例えば、コールオプションの権利行使価格が100円で、市場価格が80円の場合は、100円で買う権利を行使しても、市場で80円で買えるため、20円の損失となります。プットオプションの場合、権利行使価格が100円で市場価格が120円であれば、100円で売る権利を行使しても、市場では120円で売れるので、20円の損失になります。

これらの権利行使価格の状態は、市場価格の変動によって常に変化します。そのため、オプション取引を行う際には、市場の動向に常に注意を払う必要があります。

権利行使価格の状態 コールオプション プットオプション
権利行使価格内 市場価格 > 権利行使価格
(例: 権利行使価格100円, 市場価格120円 => 20円利益)
市場価格 < 権利行使価格
(例: 権利行使価格100円, 市場価格80円 => 20円利益)
権利行使価格ちょうど 市場価格 = 権利行使価格
(利益も損失もなし)
市場価格 = 権利行使価格
(利益も損失もなし)
権利行使価格外 市場価格 < 権利行使価格
(例: 権利行使価格100円, 市場価格80円 => 20円損失)
市場価格 > 権利行使価格
(例: 権利行使価格100円, 市場価格120円 => 20円損失)

オプション取引の戦略

オプション取引の戦略

選択権取引では、様々な戦略を立てることができます。価格変動に対する予測や損失許容範囲に応じて、多様な選択権の組み合わせと権利行使価格の設定が可能です。ここでは、代表的な戦略をいくつか紹介します。

まず、原資産の価格上昇を見込む場合、買い選択権を用いた戦略が有効です。値上がり益を狙うなら、権利行使価格が現在の市場価格よりも低い買い選択権、すなわち権利内選択権を購入する方法があります。権利内選択権は、購入時価格が高額になりますが、市場価格が予想通り上昇すれば、大きな利益を得られる可能性があります。ただし、予想に反して価格が下落した場合、損失は選択権の購入価格に限定されます。一方、より少ない資金で大きな利益を狙いたい場合は、権利行使価格が現在の市場価格よりも高い買い選択権、すなわち権利外選択権の購入を検討できます。権利外選択権は購入時価格が安価であるため、少ない資金で大きな値上がり益を狙うことができます。ただし、原資産価格が権利行使価格を上回らない限り利益は得られませんので、注意が必要です。

逆に、原資産の価格下落を見込む場合は、売り選択権を用いた戦略が有効です。値下がり益を狙うなら、権利行使価格が現在の市場価格よりも高い売り選択権、すなわち権利内選択権を購入する方法があります。権利内選択権は購入時価格が高額になりますが、市場価格が予想通り下落すれば大きな利益を得られる可能性があります。ただし、予想に反して価格が上昇した場合、大きな損失を被る可能性があるため、注意が必要です。一方、より少ない資金で利益を狙いたい場合は、権利行使価格が現在の市場価格よりも低い売り選択権、すなわち権利外選択権の購入を検討できます。権利外選択権は購入時価格が安価なため、少ない資金で利益を狙うことができます。ただし、原資産価格が権利行使価格を下回らない限り利益は得られませんので、注意が必要です。

このように、選択権取引では、市場予測や損失許容範囲に応じて、最適な戦略を選択することが重要です。それぞれの戦略の特徴を理解し、リスクとリターンを慎重に評価することで、効果的な資産運用が可能になります。

市場予測 戦略 選択権の種類 権利行使価格 メリット デメリット
価格上昇 買い選択権 権利内 市場価格より低い 大きな利益の可能性 購入価格が高額
権利外 市場価格より高い 少ない資金で大きな利益を狙える 原資産価格が権利行使価格を上回らない限り利益は得られない
価格下落 売り選択権 権利内 市場価格より高い 大きな利益の可能性 予想に反して価格が上昇した場合、大きな損失の可能性
権利外 市場価格より低い 少ない資金で利益を狙える 原資産価格が権利行使価格を下回らない限り利益は得られない

様々な呼び方

様々な呼び方

オプション取引で欠かせない権利行使価格は、いくつかの異なる言い方で呼ばれています。よく知られているのは「権利行使価格」ですが、それ以外にも「行使価格」や「エキササイズプライス」といった呼び方があります。呼び方は様々ですが、どれも同じ意味です。オプション取引において、あらかじめ定められたこの価格で、原資産(例えば株)を買う権利または売る権利を行使できる価格のことを指します。

これらの用語は、話す相手や状況、あるいは書かれている資料などによって使い分けられることがあります。例えば、公式の文書では「権利行使価格」が使われることが多い一方で、日常会話やニュース記事などでは「行使価格」のような簡略な表現が使われる場合もあります。また、金融の専門家の間では、英語風に「エキササイズプライス」と呼ばれることもあります。このように、様々な場面で異なる呼び方が用いられることがありますが、どれもオプション取引における肝となる価格であることに変わりはありません。

オプション取引について学ぶ際には、これらの様々な呼び名が存在することを知っておくことが大切です。教科書やウェブサイト、セミナーなど、情報源によって使われている用語が異なる場合もあるでしょう。しかし、「権利行使価格」「行使価格」「エキササイズプライス」はすべて同じ意味だと理解していれば、混乱することなく情報を整理し、内容を正確に把握することができます。それぞれの用語が持つ意味を正しく理解することで、オプション取引の仕組みをより深く理解し、自信を持って投資判断を行うことができるようになるでしょう。

用語 説明
権利行使価格 オプション契約で原資産を買う/売る権利を行使できる価格
行使価格 権利行使価格と同じ意味
エキササイズプライス 権利行使価格と同じ意味(英語風表現)

まとめ

まとめ

選択権取引では、権利行使価格は取引の成否を決める重要な要素です。この価格は、あらかじめ定められた価格で原資産を買う、あるいは売る権利を行使できる価格のことを指します。原資産の価格が上下すると、選択権の価値も変動します。ですから、権利行使価格を理解することは、危険を管理し、利益を最大にするために欠かせません。

権利行使価格にはいくつかの状態があります。まず、「イン・ザ・マネー」とは、選択権が利益を生む状態です。買い選択権の場合、原資産の価格が権利行使価格を上回っている状態、売り選択権の場合、原資産の価格が権利行使価格を下回っている状態です。次に、「アット・ザ・マネー」とは、原資産の価格と権利行使価格が等しい状態です。最後に、「アウト・オブ・ザ・マネー」とは、選択権が損失を生む状態です。買い選択権の場合、原資産の価格が権利行使価格を下回っている状態、売り選択権の場合、原資産の価格が権利行使価格を上回っている状態です。

これらの状態を理解し、市場の動きに注意しながら、適切な作戦を立てることが重要です。例えば、原資産の価格が大きく上がると予想するなら、イン・ザ・マネー、あるいはアット・ザ・マネーの買い選択権を購入するのが良いでしょう。逆に、原資産の価格が下がると予想するなら、イン・ザ・マネー、あるいはアット・ザ・マネーの売り選択権を購入するのが良いでしょう。

さらに、権利行使価格には「権利行使価格」「行使価格」「約定価格」など、様々な呼び方があることも覚えておきましょう。呼び方が異なっていても、意味は同じです。これらの知識を身に付けることで、選択権取引をより効果的に活用し、投資目標の達成に近づくことができるでしょう。

状態 買い選択権 売り選択権
イン・ザ・マネー 原資産価格 > 権利行使価格 原資産価格 < 権利行使価格
アット・ザ・マネー 原資産価格 = 権利行使価格 原資産価格 = 権利行使価格
アウト・オブ・ザ・マネー 原資産価格 < 権利行使価格 原資産価格 > 権利行使価格

権利行使価格の別称: 行使価格、約定価格