好景気の呼び名:時代を映す景気

好景気の呼び名:時代を映す景気

投資の初心者

先生、「景気の拡張局面が長期間続くと、特定の名称で呼ばれることがある」と習いましたが、どんな名称のものがあるんですか?

投資アドバイザー

そうですね。有名なものだと、神武景気、岩戸景気、オリンピック景気(五輪景気)、いざなぎ景気、バブル景気(平成景気)、いざなみ景気などがあります。

投資の初心者

そんなにたくさんあるんですね! これらの景気には、何か共通の特徴とかあるんですか?

投資アドバイザー

どれも好景気が長く続いた時期ですね。ただ、それぞれ背景にある経済状況や、好景気の度合いは異なってきます。例えば、いざなぎ景気は高度経済成長期、バブル景気は土地や株の価格が高騰した時期にあたります。

景気の拡張局面の名称とは。

景気が良い時期が長く続くと、特別な名前で呼ばれることがあります。例えば、「神武景気」「岩戸景気」「オリンピック景気(五輪景気)」「いざなぎ景気」「バブル景気(平成景気)」「いざなみ景気」などです。これらの名前は、投資の話によく出てきます。

景気の呼び名

景気の呼び名

世の中が活気に満ち、物が良く売れ、人々の暮らし向きが良くなる時期が長く続くと、その時代を象徴する呼び名が付けられることがあります。まるで時代のニックネームのようなものです。特に、高度経済成長期には、日本の神話にちなんだ名前が多く使われました。例えば「神武景気」や「岩戸景気」などは、日本を建国したとされる神武天皇や、天照大神が隠れた天岩戸の神話に由来しています。これらの名前は古事記や日本書紀といった古い書物から取られており、当時の活況や将来への明るい見通しを人々に強く印象付けました。人々は、景気の良さを神話の時代の繁栄になぞらえ、希望に満ちた未来を描いていたのです。

近年では、国際的な大きな催し物に関連付けた名前や、当時の政治の施策を反映した名前も使われるようになってきました。例えば、2020年の東京五輪を控えた時期は「五輪景気」という言葉が盛んに使われました。これは、五輪開催に向けた建設需要や観光客の増加による経済効果への期待を反映したものです。また、「アベノミクス景気」といった呼び名は、当時の首相の経済政策を表す言葉として使われました。このように、景気の呼び名は、単なる経済の状況を表す指標を超えて、時代の背景や社会全体の雰囲気を映し出す鏡のような役割を果たしています。人々がどのような出来事に注目し、どのような希望や不安を抱いていたのか、景気の呼び名を通して、当時の社会の様子を垣間見ることができます。まるで、時代のアルバムをめくるように、過去の出来事を振り返り、未来への展望を考えるきっかけを与えてくれるのです。

景気の呼び名 由来/特徴 時代背景
神武景気
岩戸景気
日本神話 (神武天皇、天照大神) 高度経済成長期
活況、明るい見通し
五輪景気 2020年東京オリンピック 五輪開催に向けた建設需要、観光客増加への期待
アベノミクス景気 当時の首相の経済政策 アベノミクスによる経済効果

神武景気と岩戸景気

神武景気と岩戸景気

昭和三十年代後半から四十年代初頭にかけて、日本は目覚ましい経済成長を遂げ、この期間には「神武景気」と「岩戸景気」という二つの大きな好景気が訪れました。まず、神武景気は、初代天皇である神武天皇の即位になぞらえて名付けられました。これは、戦後の混乱からの復興を終え、本格的な経済成長へと移行する象徴的な出来事でした。この時期は、人々の暮らしを豊かにする電化製品や自動車といった耐久消費財が広く普及し始めました。洗濯機や冷蔵庫といった家電製品は、家事労働の負担を軽減し、人々の生活水準を大きく向上させました。また、マイカーを持つという夢も現実的になり、人々の行動範囲を広げ、余暇の楽しみ方も多様化していきました。

続いて訪れた岩戸景気は、天照大神が天の岩戸に隠れて世の中が暗闇に包まれたという神話に由来します。この景気は、一時的な景気の落ち込みから脱却し、再び力強い経済成長軌道に乗った様を岩戸が開いて光が戻る様子に重ね合わせて表現したものです。この時代は、企業が積極的に設備投資を行い、生産能力を高めたことで、経済成長が加速しました。また、輸出産業も大きく発展し、日本の製品は世界市場で高い評価を得ました。鉄鋼、造船、自動車などの産業が国際競争力をつけ、輸出の増加は日本の経済成長を力強く支えました。このように、神武景気と岩戸景気は、日本が高度経済成長期を駆け抜ける原動力となり、人々の生活水準を飛躍的に向上させ、豊かな社会の基盤を築きました。この二つの好景気は、後の日本経済の発展に大きな影響を与え、今日の繁栄の礎を築いたと言えるでしょう。

景気 期間 由来 特徴 主な出来事
神武景気 昭和30年代後半 神武天皇の即位 戦後復興から本格的な経済成長への移行期。耐久消費財の普及。 家電製品(洗濯機、冷蔵庫など)の普及、マイカーの普及
岩戸景気 昭和40年代初頭 天照大神の岩戸隠れ神話 一時的な景気後退からの回復と力強い経済成長。企業の設備投資と輸出産業の発展。 企業の設備投資、輸出産業(鉄鋼、造船、自動車など)の発展

オリンピック景気といざなぎ景気

オリンピック景気といざなぎ景気

1964年の東京オリンピック開催を契機に、日本は大きな経済成長を遂げました。これをオリンピック景気と言います。 大会に向けて、各地で競技場や選手村といった施設の建設、道路や鉄道などの交通網の整備が進められました。これらのインフラ整備は、雇用を生み出し、建設需要を高めたことで、国内経済を大きく押し上げました。また、オリンピックの開催により、世界中から多くの観光客が訪日しました。これは、ホテルや飲食店などのサービス業を中心に、国内消費を活発化させる効果をもたらしました。さらに、カラーテレビをはじめとする家電製品の普及も、国民の生活水準向上に貢献し、好景気に拍車をかけました。

オリンピック景気に続く形で、1965年11月から1970年7月までの57カ月間、日本経済はさらなる成長を続けました。この好景気は、日本神話に登場する神の名前にちなんでいざなぎ景気と名付けられました。いざなぎ景気は、オリンピック景気で整備されたインフラを基盤に、企業の設備投資が活発化したことで実現しました。鉄鋼や自動車、家電といった産業を中心に、生産能力の増強が進み、輸出が大きく伸びました。世界経済の拡大も追い風となり、日本は世界有数の経済大国へと躍進しました。いざなぎ景気は、戦後最長の好景気として、日本の高度経済成長を象徴する時代となりました。オリンピック景気とそれに続くいざなぎ景気は、日本経済の黄金期を築き、国民生活の向上に大きく貢献しました。

景気 期間 要因 結果
オリンピック景気 1964年東京オリンピック開催時期
  • 競技場、選手村などの施設建設
  • 道路、鉄道などの交通網整備
  • 観光客増加による消費の活発化
  • カラーテレビなどの家電製品普及
  • 雇用創出、建設需要の高まり
  • 国内経済の活性化
  • 国民生活水準向上
いざなぎ景気 1965年11月~1970年7月
  • オリンピック景気で整備されたインフラ
  • 企業の設備投資の活発化
  • 鉄鋼、自動車、家電などの生産能力増強
  • 輸出の増加
  • 世界経済の拡大
  • 戦後最長の好景気
  • 高度経済成長の象徴
  • 日本を世界有数の経済大国へ

バブル景気といざなみ景気

バブル景気といざなみ景気

1980年代後半、日本経済はかつてない好景気に沸きました。これが後に「バブル景気」と呼ばれる時代です。土地や株式の価格が異常なほど上がり続け、多くの人々が投機に走りました。土地は本来、生活の基盤となるものですが、まるで品物のように転売され、価格がつり上がっていきました。この地価高騰は企業の設備投資を歪め、実体経済からかけ離れた金融取引が横行しました。まるで泡のように膨らんだ経済は、実態のない幻想だったのです。やがてバブルは崩壊し、日本経済は長い低迷期に突入しました。この経験は、経済の健全な成長とは何かを改めて私たちに考えさせる契機となりました。

一方、2002年から2008年にかけて続いた好景気は、「いざなみ景気」と名付けられました。日本神話のイザナギの妻であるイザナミにちなんで命名されたこの景気回復は、世界的な金融緩和政策を背景に、輸出が好調だったことが主な要因です。特に、中国をはじめとする新興国の経済成長は、日本の輸出産業にとって大きな追い風となりました。企業の業績が回復し、雇用も改善しました。しかし、2008年のリーマン・ショックという世界的な金融危機の発生により、輸出は急減し、いざなみ景気は終焉を迎えました。世界経済の繋がりは、一国の景気を大きく左右することを痛感させられる出来事でした。バブル景気といざなみ景気、それぞれ異なる要因で起きた景気拡大とその後の反動は、経済の安定と持続的な成長の難しさを示す重要な事例と言えるでしょう。

項目 バブル景気 いざなみ景気
期間 1980年代後半 2002年~2008年
要因 土地・株式の異常な高騰、投機熱 世界的な金融緩和、輸出好調(特に中国向け)
特徴 実体経済からかけ離れた金融取引の横行、地価高騰 企業業績の回復、雇用の改善
終焉の要因 バブル崩壊 リーマン・ショックによる輸出急減
教訓 経済の健全な成長の重要性 世界経済の連動性と影響力の大きさ

景気の名称と経済政策

景気の名称と経済政策

過去の景気にはそれぞれ名前がつけられており、その名前は当時の社会や経済の状態を反映しています。これらの名前を知ることで、当時の経済政策や社会の状況を理解する手がかりとなります。例えば、神武景気や岩戸景気といった名前は、戦後の復興期から高度経済成長期にかけての力強い経済の伸びを物語っています。

神武景気は、戦後間もない時期に復興への期待を込めて名付けられました。岩戸景気は、朝鮮戦争の特需による好景気を神話の天岩戸開きになぞらえて名付けられました。どちらも、日本経済が力強く成長していく希望に満ちた時代を表しています。

オリンピック景気は、1964年の東京オリンピック開催を契機とした活況を表しています。大型公共事業や設備投資の増加が経済を押し上げました。これは、大きな行事が経済に与える影響を示す好例です。

続く、いざなぎ景気は、高度経済成長の絶頂期を象徴する長期の好景気です。日本の製造業は大きく発展し、国民の生活水準も向上しました。しかし、この高度経済成長は、公害問題などのひずみも生み出しました。

バブル景気は、土地や株への投機が過熱し、経済全体が異常な状態になった時期です。このバブル崩壊は、その後の長い不況につながり、経済の安定の大切さを教えてくれます。いざなみ景気は、世界経済の動向と連動した景気拡大を示しています。グローバル化が進む中で、世界経済の影響を強く受けるようになった日本の経済状況を表しています。

このように、過去の景気の名称とその背景にある経済状況、政策を学ぶことは、経済の歴史を理解する上で重要です。そして、過去の成功や失敗から学び、未来の経済政策を考える上でも貴重な知恵となります。

景気名 時期 背景・特徴
神武景気 戦後間もない時期 戦後復興への期待、力強い経済成長
岩戸景気 朝鮮戦争特需期 朝鮮戦争特需による好景気、神話の天岩戸開きになぞらえた名称
オリンピック景気 1964年東京オリンピック前後 オリンピック開催による大型公共事業、設備投資の増加
いざなぎ景気 高度経済成長絶頂期 長期好景気、製造業の発展、国民生活水準の向上、公害問題発生
バブル景気 1980年代後半 土地・株への投機過熱、バブル崩壊後の長期不況
いざなみ景気 2000年代前半 世界経済と連動した景気拡大、グローバル化の影響