実質金利で投資効果を測る
投資の初心者
先生、「実質金利」ってよく聞くんですけど、イマイチよくわからないんです。教えてください。
投資アドバイザー
なるほど。「実質金利」とは、物価上昇率を差し引いた後の、本当の利息の事です。例えば、銀行に100円預けて1年後に利息が5円ついて105円になったとします。これが名目金利5%です。でも、この1年の間に物価が2%上昇したらどうでしょう?
投資の初心者
105円で買えるものの量は、物価上昇前だと103円くらいで買えたものと同じになりますよね。ということは、本当の利息は3円ってことですか?
投資アドバイザー
その通り!それが実質金利3%です。名目金利から物価上昇率を引けば、実質金利が計算できます。物価が上がると、お金の価値が目減りする分、利息の価値も下がる、ということを覚えておきましょう。
実質金利とは。
「投資で使われる言葉、『実質金利』について説明します。実質金利とは、物価の上がり具合を差し引いて計算した本当の金利のことです。詳しくは『名目金利』の説明もご覧ください。
実質金利とは
お金を貸したり、借りたりする際に発生する利息。これを金利と言いますが、金利には大きく分けて二つの種類があります。一つは名目金利と呼ばれるもので、預金や債券などで受け取る、あるいは支払う利息の額面上の割合です。もう一つが実質金利で、これは物価の変動を考慮に入れた金利のことを指します。物価が上昇するということは、同じ金額のお金で買える物の量が減ることを意味します。つまりお金の価値が下がるということです。例えば、100円持っていたとします。物価上昇率が2%とすると、1年後には同じ100円で買えるものが98円分しか買えなくなります。この物価上昇によって、お金の価値が実質的にどれくらい目減りするのかを差し引いて、実際にどれだけの購買力が上がったのかを示すのが実質金利です。実質金利を計算するには、名目金利から物価上昇率を引きます。名目金利が5%で物価上昇率が2%の場合、実質金利は約3%となります。これは、投資によって5%の利益を得たとしても、物価が2%上昇しているので、実際に得られた購買力は3%に相当することを意味します。実質金利がプラスであれば、物価上昇の影響を差し引いても利益が出ていることになり、逆にマイナスであれば、物価上昇に金利が追いついていないことを意味します。つまり、お金の価値が目減りしているということです。ですから、投資を考える際には、名目金利だけでなく、実質金利にも注目することが大切です。実質金利を理解することで、物価変動の影響を踏まえた、より的確な投資判断ができます。将来の物価上昇率を予測することは難しいですが、過去のデータや経済状況などを参考にしながら、慎重に検討することが重要です。長期的な投資を考える上では、物価上昇による影響を考慮することは不可欠です。実質金利を理解することで、より効果的な資産運用を行うことができます。
金利の種類 | 説明 | 計算方法 |
---|---|---|
名目金利 | 預金や債券などで受け取る、あるいは支払う利息の 額面上の割合 |
– |
実質金利 | 物価の変動を考慮に入れた金利。 物価上昇によって、お金の価値が実質的にどれくらい 目減りするのかを差し引いて、実際にどれだけの 購買力が上がったのかを示す。 |
名目金利 – 物価上昇率 |
実質金利 | 意味 |
---|---|
プラス | 物価上昇の影響を差し引いても利益が出ている |
マイナス | 物価上昇に金利が追いついていない。 お金の価値が目減りしている。 |
実質金利の計算方法
お金を貸したり借りたりするとき、利子がつきますが、この利子には大きく分けて二つの種類があります。一つは名目金利と呼ばれるもので、実際に受け取ったり支払ったりする利子のことです。もう一つは実質金利と呼ばれるもので、物価の変化を考慮に入れた利子のことです。
実質金利を計算するには、物価の上昇率を考えなければなりません。物価が上がると、同じ金額のお金の価値は下がります。例えば、100円持っていて、物価が10%上がると、以前100円で買えたものが110円になります。つまり、お金の実質的な価値は目減りしているのです。この物価上昇によるお金の価値の減少を差し引いて計算したものが実質金利です。
実質金利の計算には、よくフィッシャー方程式と呼ばれる計算式が使われます。この式は、(1 + 名目金利) ÷ (1 + 物価上昇率) – 1 = 実質金利 となります。例えば、名目金利が5%で、物価上昇率が2%だとします。この場合、(1 + 0.05) ÷ (1 + 0.02) – 1 = 約0.0294となります。つまり、実質金利は約2.94%になります。
単純に名目金利5%から物価上昇率2%を引いて3%としたくなりますが、そうすると正確な実質金利とは少しずれが生じます。フィッシャー方程式を使うことで、物価上昇によってお金の価値がどう変化するかをより正確に反映した実質金利を計算できます。
実質金利は、お金の本当の収益力を知る上でとても大切な指標です。名目金利だけを見て判断するのではなく、物価上昇率も考慮に入れて、実質金利を計算することで、より的確な投資判断を行うことができます。
項目 | 説明 | 計算式 | 例 |
---|---|---|---|
名目金利 | 実際に受け取ったり支払ったりする利子 | – | 5% |
物価上昇率 | 物価が上昇した割合 | – | 2% |
実質金利 | 物価の変化を考慮に入れた利子 お金の本当の収益力 |
(1 + 名目金利) ÷ (1 + 物価上昇率) – 1 = 実質金利 | (1 + 0.05) ÷ (1 + 0.02) – 1 = 約0.0294 (約2.94%) |
投資判断における実質金利の重要性
お金を運用する際に、実質金利はとても大切です。実質金利とは、物価の変化を考えた後の、本当の利回りです。銀行にお金を預けると利子がつきますが、それと同時に世の中の物価も上がっていきます。物価が上がると、同じ金額でも買えるものが少なくなります。つまりお金の価値が下がるということです。
例えば、今100円でリンゴが1個買えるとします。銀行に100円を預けて、1年後103円になったとしましょう。名目金利は3%です。ところが、1年後には物価が上がってリンゴが1個104円になっていたとします。この場合、103円ではリンゴ1個を買うことができません。お金は増えましたが、買えるものが減っているので、実際には損をしていることになります。これが実質金利がマイナスの状態です。
実質金利を計算するには、名目金利から物価上昇率を引きます。この例では名目金利3%から物価上昇率4%を引くと、実質金利は-1%になります。つまり、100円の価値が1年後には99円に目減りしたのと同じです。
投資をする時は、目先の金利(名目金利)だけに注目するのではなく、物価上昇率も考慮した実質金利で考えることが重要です。実質金利がプラスであれば、物価上昇を考慮しても利益が出ていることになります。反対に、実質金利がマイナスであれば、物価上昇によって資産の実質的な価値が減少していることになります。
将来の物価上昇率を正確に予測することはできません。しかし、過去の物価上昇率や経済の状況などを参考に、おおよその見通しを立てることは可能です。投資判断を行う際には、これらの情報を活用し、慎重に検討することが大切です。
項目 | 説明 | 例 |
---|---|---|
名目金利 | 銀行預金などで得られる表面上の利回り | 預金金利3% |
物価上昇率 | 物価が上昇する割合 | リンゴの価格上昇率4% |
実質金利 | 物価上昇率を考慮した本当の利回り (名目金利 – 物価上昇率) |
3% – 4% = -1% |
実質金利がプラスの場合 | 物価上昇を考慮しても利益が出ている | – |
実質金利がマイナスの場合 | 物価上昇によって資産の実質的な価値が減少している | 100円の価値が99円に目減り |
実質金利と経済状況
お金を貸したり借りたりする際にかかる真の利子、つまり実質金利は、経済の状況を写し出す鏡のようなものです。景気が良い時は、商品の値段が上がりやすいので、名目金利は高くても物価上昇率を差し引いた実質金利は低くなることがよくあります。例えば、名目金利が5%で物価上昇率が3%なら、実質金利は2%です。これは、お金の価値が下がる分、利子の価値も目減りするためです。
反対に、景気が悪い時は、物価は上がりにくく、実質金利は高くなる傾向にあります。物価上昇率が低い、あるいは物価が下がるデフレの時には、名目金利が低くても実質金利は高くなることがあります。例えば、名目金利が2%で物価上昇率がマイナス1%なら、実質金利は3%になります。お金の価値が上がるので、利子の価値も上がるからです。
日本銀行のような中央銀行は、政策金利を変えることで経済に影響を与えようとします。政策金利が上がると、銀行からお金を借りるコストが増えるため、企業や個人の借入が減り、経済活動は落ち着きやすくなります。逆に、政策金利が下がると、お金を借りやすくなり、企業の投資や個人の消費が増え、経済は活発になりやすいです。
このように、実質金利は経済の状況や金融政策と深い関わりがあります。新聞やニュースで実質金利の動きに注目することで、経済のこれからを予測する手がかりをつかむことができるでしょう。金利のわずかな変化が、私たちの生活や将来に大きな影響を与える可能性があることを心に留めておきたいものです。
景気 | 物価 | 名目金利 | 実質金利 | 経済活動 |
---|---|---|---|---|
好況 | 上昇 | 高 | 低 | 活発 |
不況 | 下降/停滞 | 低 | 高 | 停滞 |
政策金利 | 借入 | 経済活動 |
---|---|---|
上昇 | 減少 | 落ち着く |
下降 | 増加 | 活発 |
まとめ
お金を運用する際には、利率という数字に注目することが基本です。よく耳にする利率は名目利率と呼ばれ、お金を貸したり、預けたりすることで得られる利息の割合を示しています。しかし、この名目利率だけで投資の良し悪しを判断するのは、時期尚早と言えるでしょう。物価の上昇は、お金の価値を目減りさせるからです。例えば、利率が5%でも、物価が5%上昇すれば、実質的には利益はゼロになってしまいます。
そこで重要になるのが実質金利という考え方です。実質金利とは、物価の変動を考慮に入れた金利のこと。名目金利から物価上昇率を引くことで計算できます。この実質金利こそが、投資で得られる真の収益率を示す重要な指標となるのです。例えば、名目金利が5%、物価上昇率が2%であれば、実質金利は3%となります。つまり、実際に手元に残るお金の価値は3%増える計算です。
投資判断を行う際には、名目金利だけでなく、実質金利を確認することが大切です。物価上昇率が高い時期には、名目金利が高くても実質金利が低い、あるいはマイナスになる場合もあります。このような状況では、一見すると利益が出ているように見えても、実際にはお金の価値が減っている可能性があるため、注意が必要です。
実質金利は経済状況や金融政策を反映する指標でもあります。中央銀行が政策金利を変更すると、市場金利にも影響を与え、実質金利も変動します。また、景気が良くなると物価が上昇しやすく、実質金利は低下する傾向があります。逆に、景気が悪くなると物価は下落しやすく、実質金利は上昇する傾向があります。このように、実質金利の動きを見ることで、経済の動向をある程度把握することができるのです。今後の投資活動において、実質金利を理解し、活用していくことは、より効果的な資産運用を行う上で欠かせないと言えるでしょう。