売崩し:市場操作の落とし穴
売崩しとは、市場を混乱させ、不正に利益を得るための違法行為です。相場操縦の一種であり、巧妙な手段で市場参加者を欺くため、深刻な問題となっています。
売崩しの手口は、段階的に価格を下げながら大量の株式や債券などを売却していくというものです。この一連の売却によって、市場にはまるで自然な価格下落が起きているかのような錯覚を生み出します。何も知らない他の投資家たちは、この価格下落の流れに不安を感じ、所有する資産の価値がさらに下がることを恐れて、売却に走ります。こうして市場全体にパニックが広がり、売りが売りを呼ぶ連鎖反応を引き起こし、株価はさらに下落します。
売崩しを仕掛けた者は、この混乱に乗じて、暴落した株を安値で買い戻すのです。そして、株価が回復した後に再び売却することで、大きな利益を手にします。あたかも市場の混乱を予測していたかのような行動で、多額の利益を得るため、他の投資家は不当に低い価格で資産を手放すことになり、大きな損失を被る可能性があります。
このような行為は、市場の公正な価格形成を阻害するだけでなく、市場全体の信頼性も揺るがします。一度市場の信頼が失われれば、投資家は市場から撤退し、経済活動の停滞につながる恐れがあります。そのため、世界各国で金融商品取引法などの法律によって、売崩しは厳しく禁じられています。市場の健全性を守るためには、このような不正行為を監視し、厳正に対処していく必要があります。