割引率:退職給付会計における重要指標
割引率とは、将来受け取れるお金を、今の価値に換算するための利率のことです。たとえば、10年後に100万円もらえるのと、今すぐ100万円もらえるのでは、どちらが嬉しいでしょうか。多くの人は今すぐもらえる方を選ぶでしょう。なぜなら、今もらったお金はすぐに使うこともできますし、運用して増やすこともできるからです。10年後に100万円もらうよりも、今すぐ100万円もらう方が価値が高いと言えるでしょう。この、時間の流れによってお金の価値が変わることを時間価値と言います。割引率は、この時間価値を計算に組み込むために使われます。
具体的には、将来受け取るお金を、今の価値に直すために、将来のお金に割引率を適用します。この計算によって、将来の価値を現在の価値に割り引いているわけです。割引率はパーセントで表され、割引率が高いほど、将来のお金の現在価値は低くなります。例えば、割引率が5%だとすると、1年後にもらえる100万円の現在価値は約95万円になります。割引率が10%であれば、現在価値は約91万円まで下がります。割引率が高いほど、将来のお金の価値が大きく割り引かれるということです。
割引率は、退職金のように将来支払われるお金の計算によく使われます。会社は、将来従業員に支払う退職金を計算する際に、割引率を使って将来の退職金の現在価値を計算します。また、毎月の給料の一部を積み立てて運用し、将来受け取る年金などの計算にも割引率が使われます。このように、割引率は将来のお金に関する様々な計算で使われており、お金の時間価値を正しく理解するために非常に重要な概念です。