エンフォースメント:規則の実効性を確保
「強制」という意味を持つエンフォースメントとは、定められた様々な決まり事を守らせるために行う活動全般のことです。法律や会社の内部規則、契約書に書かれた約束事など、対象となる決まり事の種類は多岐に渡ります。決まり事を作るだけでは、皆がそれを守るとは限りません。そこで、決まり事がきちんと機能するように、エンフォースメントが必要となるのです。
エンフォースメントは、単に決まり事を破った人に罰を与えることだけを指すのではありません。決まり事の内容を広くみんなに知ってもらうための啓発活動や、決まり事を守りやすい仕組みを作ることも、エンフォースメントの重要な要素です。適切なエンフォースメントは、社会の秩序を守り、市場を健全に発展させるために欠かせない役割を担っています。
例えば、食品の衛生に関する決まり事のエンフォースメントは、消費者の安全を守る上でとても大切です。食品を扱うお店がきちんと衛生管理をしているかを検査することで、食中毒などの発生を防ぐことができます。また、金融市場においては、証券取引等監視委員会といった機関が、市場を不正な行為から守るためにエンフォースメントを実施しています。内緒の情報を使って取引を行う「インサイダー取引」や、会社の帳簿をごまかす「不正会計」といった行為を取り締まることで、市場の信頼性を保ち、投資家を守っています。
このようにエンフォースメントは、私たちの暮らしの様々な場面で、安全や利益を守るために機能しています。決まり事を作るだけでなく、それを守らせるための仕組みをきちんと整えることが、より良い社会を作る上で重要なのです。